村上隆のインスタグラム(takashipom) - 7月25日 11時28分


「君たちはどう生きるか」を7月17日の朝一番に、2回目を見てきました。
私は…ですねぇ、マンガ版ナウシカのシュワの聖地のモノリスから、夏至と冬至にくり出されるメッセージを読み解く神官よろしく、10年ぶりのハヤオさんのメッセージ、何度も反芻して読み込まねば、とハッスルしておるわけです。ハイ。
10年に1回しか出て来ないメッセージなのですから、1カット1カット、低レベルの脳を使って、意味内容を読み込むにも必死です。

そんなハヤオ教信者の妄想力全開の見解です。蒙昧なので、嫌な人は読まないでね。(村上は日本では大いに嫌われていまして、そういう思考の人間ですので、悪しからず)
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冒頭のシーン、空襲警報のサイレンのスピーカーのUP!から、戦車が行進するシーン。そして、出兵する新兵のパレードに深くお辞儀をするマヒトとなつこのシーンまでを観て、自分のハヤオ体験の深い所と繋がることに気が付きました。
26歳の時、はじめて「となりのトトロ」を劇場で観た時の違和感に似てる!!
日本のアニメ史の中で、トトロは初めて戦後すぐの日本人の自画像を描いた作品で、その当時は、SFやファンタジーが華やかな頃であったこともあり、その突出したオリジナリティはその後の日本アニメのあり方を歪める力がありました。
つまり、アニメが子供の嗜みから文化のど真ん中に躍り出るに値するのだ!!と主張した、あのザラついた感覚!
そうか!「君たち〜」は、もっと深掘りの日本人論、つまり王道の芸術なんだぞ!という主張になっている、と思いました。目次を立てて、1つ1つ語ってみます。

①日本アニメーション映画史上の在り方として、「となりのトトロ」登場時に似ていると思いました。あくまで日本人である自分自身(ハヤオさん御自身)に正直になり、日本人の為のお話しを語ろうという姿勢。しかも、ものすごい深掘りのお話し。
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私の「となりのトトロ」 初鑑賞時の記憶。
当時私は藝大の日本画科に在籍していて、アニメ業界には入れぬ己の弱さ、絵の下手さに絶望し、しかし表現者としての生き方は諦められず、モジモジしてました。
26歳の4月某日に、1人で上野のエロ映画劇場の横の映画館で、まず「トトロ」鑑賞から、の「火垂るの墓」を観て、外に出て、グワーンと頭かち割られた感じがして…。特に、トトロでショックを受けて、日本人はやっぱり日本の物語を作らなきゃいけないんだぁ…「ウオオオオ…」と、天を仰ぎ号泣してました。(泣くのはウソだけど、心の中の情景描写です)
そんなトトロ的アニメで、2023年版日本語りのエポック作品が現出。アジアの中の日本の風景を児童文学風に仕立てつつも、保守本流の芸術表現に仕上げたんだ、と思いました。

で・・・
私は26歳の頃から、芸術の世界に身をやつして来て、若い頃・・・45歳くらいまで『なんで「美術館」って老人しか来ないんだよ』と不満に思っていましたが、自分が老人になり、先日、オルセー美術館で本物の絵画を沢山観て、老人にならないと、分からんことあるなぁ・・・と、シミジミ感動して思いました。
つまり、教養の積層があるレベルまで重層化して来ないと芸術鑑賞って出来ないんだなぁ・・・と。コンセプトを理解したと思っていても、実体験して来ないと、腑に落ちていくことが難しく、故に歳を重ねると、芸術鑑賞が面白くなってくるのです。
まさに「君たち〜」はその真骨頂、芸術ド真ん中だと思いました。なので御高齢の方、例えば日本の歴史的な美術を美術館に観に行っている人々にとっては、大好物の作品な可能性あります。老人は蓄積された教養込みで、歴史を知ることで時空を飛翔し、自由になっていきます。もちろん、若者にとっても含蓄のある本作でしょうが、改めて、Over60歳以上のシニア層の皆さん、美術館に行くつもりで、2時間、クーラーの効いた劇場で「昭和〜令和の日本美術の最高峰の1つ」を観るつもりで、出掛けるといいですよぉ…と、思いました。

②「時代の風音」という本の表紙もイメージボードの1つで主要なテーマ!!!?…からの連想で気がついたのは、「君たち〜」は宮﨑駿版「坂の上の雲」(司馬遼太郎作)なんだ!ということ。
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ベックリンの死の鳥が乗っかってるノアの方舟シーンを観て、「あ!これは!?」。ハヤオさんが26年前、司馬遼太郎、堀田善衛との鼎談の画集の表紙にしてた奴か?と、気がつきました。
その表紙画は、木造の戦艦、こちらを向いている大砲が2門、マストには万国旗をはためかせており、嵐の中をこちらに向かっている。バブル時の日本の姿を描いたような出立ち。
そして、「君たちは〜」の箱舟は、その航海を終えた後の姿であり、なんと、そこがキリコの住処なのか…と。
「坂の上の雲」は、日露戦争のバルチック艦隊の戦いに勝つまでが語られていましたが(NHK版の印象しか無い…)、「君たち〜」は、太平洋戦争突入前からの時代の潮流から、戦中、戦後、そして今現在までを、児童文学風味でまとめた感じなんだぁ…。と。

PART1
(3まで続きます)


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2023/7/25

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