SPURのインスタグラム(spurmagazine) - 2月20日 21時08分
ある著名な調香師へのインタビュー記事でこんなものがありました。「あなたの作った●●●は大ヒットしたのに、▲▲▲▲▲はイマイチでしたね。理由はなんでしょう」。不躾に聞くなぁ、と思ったものですが大御所は飄々と答えます。「やっぱり名前じゃないかな。▲▲▲▲▲は意味が分かりずらかったよね、名前も長いし」。えっ!香り立ちや成分の話じゃないの。でも考えると一理ある。
香水は調合のテクニックもそうですが、それと同じくらい必要なのがイマジネーション。嗅覚という主観的な、そして本能的な感覚に訴えかけるものだけに、想像力と物語性が重要になります。だから名前はとても、とても大切。
シンプルで強いこと。どんな創作においても大きな勝因となるこの法則がぴったり当てはまる名前を冠して生まれました。その名もBOY、どーですか! 正式にはボーイ シャネル オードゥ パルファム。よりラグジュアリーな「レ ゼクスクルジフ ドゥ シャネル」シリーズの最新作です。
リリースは去年の春。4月、出張先のパリでマレ地区にオープンしていたシャネルの美容専門店CHANEL PARIS LE MARAISに飾られていたのがこの香水だったんですね。おお、この名前は!一目惚れしました。香りを試す前に、です。
ガブリエル シャネルの恋人だったアーサー・カペル、通称BOYにちなんで名付けられた香水は、フゼア系。フゼアといえば元来メンズフレグランスに用いられるラベンダーやクマリン、ゼラニウムなどを主成分にしたきりっとした香り立ち。
映画『ココ・アヴァン・シャネル』でボーイを演じたのはアレッサンドロ・ニヴォラでしたが、男らしくて骨太!というより、繊細な線の細さが際立つイギリス人男性を体現するのにイイ雰囲気だったように思うのです。同時にこのフゼアには、ボーイと一緒にいるときの、メンズライクな服を着たオドレイ・トトゥつまりガブリエル シャネル自身の佇まいを感じさせる柔らかさもあります。
名前から入って、いいんですよ。ちょうど春の足音が聞こえてきたこの季節にも似合う爽やかな芳香です。この名前にピンと来た人はぜひカウンターで試してみてください。
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2017/2/20