柏木作夢のインスタグラム(samukashiwagi) - 12月14日 08時55分

「ヒレカツとボクとときどきロースカツ」

小学生の頃、友人の1人が野球の試合の帰りに「ヒレカツ」「ヒレカツ」いうので、何のことかと聞いたらトンカツの中でも最上級の部位だと教えてくれた。(彼の中では) ・
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「今日は頑張ったからオカンがヒレカツ用意してくれてるんだ」と言いながら、いつもは2人並んでおりていく公園の長い階段を1人でスタスタと駆け下りていく。
階段を一段降りる音に合わせて彼は「ヒレカツ、ヒレカツ…」と息を上げながら唱えていた。

一段につき2回「ヒレカツ」と囁きながら走り帰る彼。

取り残されたボクは「負け試合」なのによくもまぁそんなに意気揚々と家路を急げるなぁと不快だった。

試合で負けた日は、家に帰ってもお母さんと話すことなんて悔しくて恥ずかしくて出来なかった。

当時から「勝つこと」に対して執着していたボクにはとうてい理解しがたい友人の行動でしかなく、その友人とはモチベーションが明らかに違うんだという事実を目の当たりにしたようで少し寂しくもあった。

しかし…

彼の言っていた「ヒレカツこそご馳走」、「ヒレカツこそ正義」のような思想は、その際に何故かボクの心に深く突き刺さり、現在に至るまで根付いてしまっている。

トンカツ屋でも、「ヒレカツ定食で」
我が家でも、「ヒレカツで」
そして夢の中でも「ヒレカツ最高」

なのに嫌なことがあった時や、失敗した日にはヒレカツを頼んではいけない気がしてロースを頼んだりもする。

幼き少年時代に耳に入る言葉は例え敵の言葉であっても長く生きる。

まるでヒレカツ以外のトンカツは偽物だ、と脳裏に焼き付けられた思いである。

そんな悪夢で、今日は目が覚めた。

そう、今日もきっと北新宿1丁目の角を曲がればそこにヒレカツがいる。

そして今でも、長い階段を見るとあの言葉が… ・
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「ヒレカツヒレカツ、ヒレカツヒレカツ」

おはようございます? ・
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