さえりのインスタグラム(n908sa) - 1月8日 14時37分

引きこもりだった頃、心療内科からの帰り道で突如思い立ち、熱帯魚を買って帰ったことがある。深い青の、ベタという魚。小雨、と名前をつけた。

小雨は、水面から顔を出して息を吸える魚で、水面で息を吸っては吐き出して小さなあぶくをたくさん作っていた。
その時出る、「とつ」という音。
引きこもりで生きてるか死んでるかわからない暮らしをしていたわたしが唯一「生」を感じられる音だった。

とつ、とつと音を鳴らしながら、毎日毎日せっせとあぶくをこしらえて、その行為は繁殖のためらしいが、ベタは闘魚で一匹でしか飼えない。なんだか勇ましくて、切ない魚だった。

今でも小雨が降ると、思い出すよ。
深い深い青。優雅な尾ひれ。綺麗だったから、あぶくを持ってどこにでも行きなね。もうわたしは大丈夫。

お墓に手を合わせて、そんなことを思いました。

写真は、忘れな草。

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