佐古真弓のインスタグラム(_sacomayumi_) - 1月11日 14時54分
今日、1月11日は私の父、佐古正人の命日です。
父は16年前の今日、2年半に及ぶ辛い闘病生活を終え高天原に旅立ちました。
演劇集団円に所属し、数々の舞台、テレビドラマ、映画に出演し、声優としてはゲーリー・オールドマンの声を担当し、関係者の皆様から高い評価を頂いていました。
私が役者を目指したのは、父の影響です。
ストイックに、孤独に役に向かう父の姿を物心ついた頃から見てきました。
父が台本を開いている時は邪魔をしてはいけない、声をかけてはいけない。母に言われるまでも無く、台本に向かっている父に近付く事は怖くて出来ませんでした。
それでも幼い私は父に構って欲しくてワガママを言って泣き喚いた事も。そんな時、父は困ったような顔をして「あとでね」と一言。
そしてまた台本に目を落とすのです。
家庭より芝居を優先する父に嫌悪を抱いた時期もありました。
父が私たち家族より大事にしている(その当時はそう思っていた)芝居とは何なんだ。あんなに辛い顔をして、胃に穴をあけてまで挑む芝居っていうのは何なんだ。
父を虜にして離さない「芝居の世界」に嫉妬していました。嫉妬と同時に、華やかな世界の裏にある影に惹かれて、私も同じ世界に足を踏み入れてしまったのです。
今は父が決して家庭を蔑ろにしていた訳では無いという事、理解しています。私に向けた愛情の深さも。
構って欲しくて大事な台本に落書きをしても消さずにいてくれた。「真弓が落書きしてね」と照れ笑いをしていたと、死後、父の役者仲間から聞きました。
「ごめんね。あとでね。この芝居が終わったらいっぱい遊ぼうね」
大人になり、文学座に入り父と同じ道を歩き始め、ようやく父と素直に向き合いたくさん話せる。親子の時間を取り戻そうと思っていた矢先に父の病気が発覚。
53歳の時でした。俳優としてまさに脂がのり始めた頃。
二年先まで舞台と声優の仕事でスケジュールは埋まっていました。
それらを全てキャンセルして病魔と闘う決意をしました。 「必ずまた舞台に立つ。まだやりたい役がたくさんある」
病院のベッドの上、点滴も抜けてしまう程に痩せ細った腕で震えながらダンベルを握っていた父。
余命宣告をされ、言葉を発する事も出来なくなった父が私に筆談で伝えた最後の言葉は
「稽古は?本番近いんだから帰りなさい」
舞台の稽古中だった私は父の死に目にあうこと叶いませんでした。
享年56歳。
最後まで病と闘い再び芝居の世界に戻る事を決して諦めず、懸命に生きました。
素晴らしく、美しい人でした。
私が尊敬し愛する俳優は
佐古正人という人です。
私はあなたの娘に生まれた事を誇りに思います。
お父さん、ありがとう。
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2019/1/11