奥浜レイラのインスタグラム(laylaokuhama) - 3月5日 15時37分

笑いの中に静かな怒りをにじませる映画にはシンパシーを感じることが多いみたい。
『あの日のオルガン』の柔らかさ、あたたかい目線の中にある芯の強さに触れるたびに、私もそうありたいなーと思う。

太平洋戦争の末期、子供たちの頭上にも容赦なく空襲が迫るなかで、小学生以下の幼い子たちも疎開させる必要があると判断して、実際に行動した保母たち(今は保育士と呼びますが)の意志の強さに私も拳をぎゅっと握ったり、はじめは保母の提案に猛反対した保護者たちが「幼い子と離れても、やっぱり命が助かってくれることが最善だから」と、保母を信じて疎開に行かせる決断をしたその苦しさを考えると胸が潰れそうになった。

疎開先の生活が何もかも上手くいくかというとそうではなくて、村の人には「消費班」と非難され、ほんの少しの心の安らぎも攻撃の的になる。
当時の女性たちの肩身の狭さを悔しく思って、奥歯を噛み締めてしまった。

親元を離れたストレスからくる集団おねしょなど、子供たちの生活のケアは本当に大変なことだったと思うけれど、子供たちと保母のやりとりに映画館が笑いに包まれるなどほっこりする一面も。
そんな子供たちの純真と、保母たちが守りたかった「文化的な生活」の尊さ。
これは現代も大切にしたいものですよね。

揺らぎながらもなんとか戦争をしないで過ぎていった平成から、さらに平和な次の時代に繋いでいくために必要なことが詰まったこの実話を、どうか若い方にも観て繋いでほしいのです。

映画の中に「この疎開が正しかったかは、生きて帰った子供たちが大きくなった時にわかること」というセリフがあります。

平松監督が舞台挨拶をされた映画館には、この時の保母たちが戦後東京に戻ってから創った保育園の後輩の方々がいらしていて、先生たちの話を少しだけ聞くことができました。
そこでひとつの答えをみたような気がしました。
何よりも子供の命を優先した保母の先生方の意志は、今も保育園の理念として伝えられているそうです。

これからの日本が、より一層ひとりひとりの命を大切にする方向へ向かっていきますように。
そう祈りながら、この『あの日のオルガン』がたくさんの人に観てもらえることを願います。
泣いてほしいのではなく、伝えてほしい映画です。(と言いながら、私はいつも涙なしで観られないのですが)
#あの日のオルガン #平松恵美子監督

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