大下ヒロトさんのインスタグラム写真 - (大下ヒロトInstagram)「青春日記【フェロモンの無駄使い】 4月27日。お昼過ぎ。一本の電話で目が覚める。高校の同級生の山之内君が東京に遊びに来た。会って早速、2ヶ月遅れの誕生日プレゼントを貰った。香水だった。山之内君が「これは付けるだけでフェロモンを出す事が出来て、女の子が寄ってくる香水なんだよ」と、言った。それはそれは素晴らしい香水だけど、僕は香水をつけない。それを伝えると、山之内君が山際君にあげる誕生日プレゼントの帽子を見せてくれた。「こっちの方がいいじゃん。」「じゃあ、山際に香水あげてヒロトが帽子にしなよ」「いいね！あいつは女の子にモテないし丁度いいね！」後から来た山際君に香水を渡すと、すぐに手首につけてフェロモンを出していたよ。確かにどこか甘くやらしい匂いだった。 21時。家に山之内君と山際君が来ている事を、同級生の西尾君に伝えるとすぐにやってきた。彼は、高校卒業後、鍼灸師を目指し先日無事に国家試験に受かった。今は東京で鍼灸師をやっている。鍼灸師の技術を僕らに披露したいのか、やたらと体のマッサージをさせてくれと頼んでくる。 3人とも絶叫しながら西尾君のマッサージを受けたんだけど、これが結構体が楽になるんだ。「ヒロトー。今度は顔に針も刺してやるよ。小顔になるし、クマも消えるよ。」なんていい奴なんだ。こんなにいい奴だったっけ。よし。これから撮影の前の日はやってもらおう。高校の時は本当にただのバカだった彼が、国家試験だなんて笑ってしまう。だけど今ではここにいる皆んな、しっかり働いてる。お酒に酔ってきた頃、山際君が急に大声で叫んだ。「俺どうしたら彼女できるんだー！」ここから、山際君に対してのアドバイスという名の説教の飲み会が始まる。少し落ち込んだ山際を見て、僕が「君は結局、彼女なんて欲しくないんでしょ！」というと「そうかもしれない」と言っていた。そう。山際君は、フェロモンを無駄使いしているのだ。山際君が「俺、ヒロトに金あんなぁ。って言われるの本当に嫌いなんだよ。」と言った。最近、恥ずかしながら山際君が居酒屋で多めに出してくれる事が多い。確かに僕は嫌な言い方をしていたかもしれない。だけどね、僕は本当に嬉しいんだ。上京当時、僕らは100円マックしか食べてなかった。山際君なんて飯食わなさすぎて別人みたいに痩せてたし。彼はお金の大切さを誰よりも分かってる人間だと思う。そして誰よりもケチだったと思う。そんな奴が、僕の為にお金を使ってくれる事が本当に嬉しかったんだ。それを伝えると、彼はタバコを吸いながら、「よし、今年こそ彼女作る。愛する人の為に働いてやる！」と言っていた。という事で、つまり、山際君は彼女募集中という事になりました。なんかいいね。彼女募集中って。高校生みたいじゃん。深夜0時。お母さんが、おばあちゃんの手料理を持って東京にやってきた。「この味だ！」「懐かしい！」とか言ってたらすぐになくなってしまったよ。こいつら本当に最悪な奴らなんですよ。僕が実家に帰ってない時でも、僕の実家に遊びに行っておばあちゃんの手料理食べてるんです。なにが懐かしいじゃ！山之内君のこれからの事について話した。彼は今、愛知県の大手企業に就職している。そして、それと同時に彼には東京に来てやりたい事がある。安定を取るか夢を取るかという状況だった。「東京に行きたい。」と言った彼に向かって山際君が言った。「正直、簡単に東京来いよ。とは言えないかな。それは、本当に仲のいい友達だからこそ。俺は簡単に東京に来いよ！とかいうやつが大っ嫌いなんだ。よくそんな無責任なこと言えるなっていつも思ってるよ。死ぬほど辛い。金もない。自分が目指してた職業が嫌いになりそうになった事もあった。それが一番辛い。」山際君が、こんなにも熱くなったのは久しぶりだ。1時間前に僕が「最近、酒に酔って熱い話しなくなったね。それなんでなの？」と聞いたら「久々の休みで、熱い話なんてしたくないじゃん。バカしたくね。」とカッコつけて言ってた彼が、1番熱くなっていた。そんな事言うから、僕まで止まんなくなっちゃって、気付いたら涙で顔面びちょびちょ。隣見たら、つられてお母さんも鼻すすってんの。酒に酔って熱い話をする自分が嫌いだ。あいつが嫌いだ。だけど、僕らは懲りずに熱い話をしている。酒に酔って熱い話をしているあいつが愛おしい。どうしようもなく大好きだ。もし君が東京に来ても、僕らにできる事なんて何もない。だから、たまに皆んなで集まって、お酒飲んで、バカみたいな話しして、次の日また頑張ろうね。平成が終わる日、僕はゴムの木を買った。"りおべどぅ"という名前をつけた。 #大下ヒロト青春日記」5月10日 22時06分