塩谷哲のインスタグラム(satoru_shionoya) - 10月28日 21時44分

土曜日は、井上ひさし作　栗山民也演出 「組曲虐殺」を観劇。

10年前に観た時の衝撃を超える深い感動をおぼえました。
貧しい者、弱い立場の者から搾取できるだけ搾取し、権力者、既得権益者が私腹を肥やす。その構造を炙り出し糾弾する小林多喜二は最後には権力によってその命を奪われてしまう。

しかしこうして彼の想いは時を超えて私達にしっかりと届いたわけで、まずその事を井上ひさしさんに伝えたい。

右、左、関係なく、自由であるべき表現が検閲され伏字にされてしまうような世の中は不幸だ。権力者の選民思想がそのままいわゆる彼ら「勝ち組」の人達にとっての「正義」となる構造は、待てよ、今の日本そのものではないか！

特定秘密保護法は可決され、公文書は改竄、隠蔽されてもトップは知らぬ存ぜぬ。東京都に相談もなくマラソンを札幌に決めた権力者たち。教育の機会均等を目指す筈の文科相が「身の丈で」という日本は、いったいどこへ向かおうとしているのだろうか。とてもじゃないが民主主義国家とは言い難い。

井上ひさしさんはこの遺作を書いた時に、このまま行くと日本は危ないです、とおっしゃっていたそうです。今の日本を予見されていたとしたら驚きですし、なおさら先生の言葉に注意深く耳を傾けていきたいと、思いを新たにしました。

俳優さんたちの全霊を込めた演技と歌、それを支え、時に場を支配し心を揺さぶる絶品のピアノ生演奏。それら極上の芸術がその空間を品格の高いものに塗り替えていました。

東京公演は終わってしまいましたが、一人でも多くの人に、特に若い人に観てほしいお芝居です。

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