猫沢エミさんのインスタグラム写真 - (猫沢エミInstagram)「うつらうつらと夢を見て、目が覚めた。下北沢の奥の方、商店街を彷徨っていて、小腹が空いたなと店を巡っているのだけど、どれもビンとくるところがない。気がつけば夕刻に差しかかり、あたりは暗くなってきている。駅へ行きたいのに方向感覚を失って、なんだかあらぬ方へ遠ざかっていく。そうこうしているうちに、たまらず眠くなり、宿を取ったつもりが欄干の下に放置されていたベッドに横たわっているではないか。よく見ると、頭上を電車が通り過ぎていく。あゝ…駅はこのすぐ真横だ。なぜ気がつかなかったのか。起き出して駅の構内へ入ると、すでに終電は行ってしまい、乗り遅れた人が大勢いて駅の待合室で寝支度をしていた。東京ではこんな風に乗り遅れる人がたくさんいて、しかも鉄道会社が常時毛布を貸してくれるのだなとぼんやり思うも、なんとかして今日中に家に帰りたいと思い直して、タクシーを拾おうかと考え始める。ひどく疲れていて、思考がぼんやりする。ここから東京の東側にある家まで乗ったらさぞ高いよな…と財布の心配もしている。そこで目が覚めた。私が目を覚ますと、かならずピガが枕元へやってきて、おはようと声をかける。おはようピガ。ここのところおかしな夢ばかり見ている。弟たちもよく悪夢を見ると言っていた。疲れが出る頃だから仕方がないと、なるべく深く考えないようにしていたのだけど、母が遺していった死の残像に皆が色濃く包まれてしまっていると認めざるを得ない。長女の私は、母に関する社会手続きを、ほとんど感情を伴わない機械のような感覚で進めていて、自分は氷のように冷たい人間なんじゃないのかと何度か思ったが、暗い残像に取り込まれないために、必死に目を背けていたのかもしれない。母は生き切れなかったのではないか。という、恐ろしい思念が頭をよぎる。確かに逝くには早すぎる若さだったし、もっと生きたかったのだろうなと認めざるを得ない痕跡が、さまざまな遺品からも見つかっている。誰しも死に積極的な人などいるわけがない。それもまた哀しいけれど、避けがたい現実だ。このメメントモリに何か意味があるのか。母の死の弔いと母自身にも、遺された私たちにも。答えはまだ、見つからない。 #ピガ兄　#猫沢夢」10月30日 7時07分