平泉春奈のインスタグラム(hiraizumiharuna0204) - 3月11日 20時02分



連作短編『恋は2度目から』
第3話 覚悟と告白(咲良サイド)


杉崎さんが1人で住んでるその部屋は1LDKで
余計なものは置いていないスッキリとした印象だった。

ここまで来たらそうなるであろうことは、よく分かっていた。
ただそれでも私には、伝えなければならないことがあった。

「先にお伝えしておきます。私……まだ前の彼のこと忘れてないです。心の中にいるんです。辛いのに、苦しいのに……なかなか出て行ってくれなくて。こんな気持ちのままあなたとそういう関係になっていいのか、あなたを傷つけるんじゃないかって、迷いがあります。」

一気に言って、胸がバクバクした。
杉崎さんがどんな顔をして私を見てるのか、確認するのが怖くて自然と伏目になる。

「とりあえず、座って話そうか」

パッと彼を見ると、驚くほど優しい笑みで私を見つめていた。
そのまま彼は私の手を取りソファに座らせた。
そして隣に座って、私の手を握り続けたまま話し始めた。

「きみが言うような大切な人が、俺にもいたんだ。」
「!」

「……まあ、ここまで長く生きてればそれも不思議じゃないかもしれないけど。さっきも言ったように俺はこう見えて自己表現が上手くない。仕事はそつなくできても、こと恋愛面となると不器用だった。相手が何を思ってるのか、内面まで分かろうともせず、ただ自分の価値観を押しつけて傷つけて、終わった。でも本当に愛していたし結婚したいと思っていた。別れた後もずっと後悔していたし、変わりたいと思った。大切な人を幸せにできる男になりたいと思った。そんな時に……早見さん、きみに出会った。」

「……」
「きみはね、俺に似てるよ。タイプは全然違うけど、どこか根本的な性質が似てる。だから早見さんを見てるとたまに胸が苦しくなる。でも同時に、この子を幸せにしたいって感じる。……それはきっと、俺自身が幸せになりたいからなんだ。」

彼は私の目をまっすぐ見た。
彼の瞳にはいつもと違う、強い光が宿っていた。

「早見咲良さん、俺と付き合ってください。俺を……きみを幸せにできる男にしてくれませんか?」

胸の奥から優しくて温かいものが溢れ出る。
彼に向けられたこの想いは、きっと憧れだ。
なんて強い人。
人はきっと、自分自身の弱さと向き合い初めて強くなれるんだと、感じた。
彼の魅力はきっとそこから来ているのだろう。

「こんな未熟な私で良ければ……」
言葉と一緒に涙がこぼれた。
彼は声を上げて笑い、私を強く抱きしめた。
「未熟なきみがいいんだよ。一緒に成長していこう」
「はい……」


杉崎さんは私の顔を愛おしそうに見つめ
やがてその大きな手を口元に持ってきた。

「やっとキスできる」

ポツリと呟いた後、優しく唇を重ねた。


to be continued


【登場人物】
早見 咲良(はやみさくら26歳)
杉崎 栄治(すぎさきえいじ30歳)



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連作短編『恋は2度目から』第3話でした!
大人になってからの2度目の本気の恋愛となると、やはり傷ついたり失敗した過去によって、迷いが生じたりどこか踏み込めなかったりする時もあると思います。なかなか十代の時のような勢いもなくなっていきます。だからこそ、会話やコミュニケーションを重ねながら丁寧に恋を始めたいって思うんですよね。それが大人の恋愛ってやつかなーなんて思いました。
次回いよいよ2人の濃厚な官能シーンをお送りします♡やっとだー(笑)お楽しみに!!




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2020/3/11

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