巻上公一のインスタグラム(koichimakigami) - 7月20日 22時53分


じゃり

 松本にはかねてからまつもと市民芸術観の芸術監督をしている串田和美がいて、コロナ禍の発信には共感するものがあり、そしてまた今回の公演で出てくるであろう「パタフィジック」に興味があるので、松本までアルフレッド・ジャリをテーマにした「じゃり」(小川絵梨子脚本・演出)を観に行ってきた。
 数日前に新宿の小劇場で新型コロナ騒ぎがあったので、劇場は、いつになく入場から慎重だった。整理番号順に手を消毒し、体温チェックをする。席には一席おきに段ボールなどで作ったペーパー・ピーポーなる擬似観客人形が配置されている。(客席はゆったり、ペーパー・ピーポーは舞台にいる俳優を寂しくさせない効果があるだろう)
舞台は、雑多な部屋の集積のようなインスタレーション。
そこに劇団TCアルプの俳優10人が並び、不可思議な顔で、観客に向かい拍手する。呼応して、観客も拍手する。そんな儀式のあとに、「ユビュ王」の有名なセリフ「くそったるー」を放つ。
「ユビュ王」初演時は、大騒動となり、15分間 芝居が中断したそうだが、いまこの言葉に起爆力は残されていない。最前列の観客だけがフェイスシールドをしているのが、なんともシュールな光景である。

内容は、じゃりの3分間クッキングとか、グロテスクな風味の笑いが軽やかに構成されていて、飽きさせない。ただ、ジャリを現代の観客に紹介するという側面が強く出ていて、飛躍の弱さを多少感じてしまったのは否めない。もっと「パタフィジック」をぶつけた怖さのあるシーンが欲しかった。でもって、このコロナ禍の中、みんな舞台をしたいし、みたいし、少しずつこうしてがんばっているのはうれしい限り、
楽しい松本行きでした。

写真は ロビー展示のジャリ


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2020/7/20

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