こばやしあきこのインスタグラム(kobayashi_akiko) - 9月6日 12時40分

私には、実父、義父と、もう一人父と慕う人がいます。
大学時代、私の担当教授となってくださった今城淳行先生。
同志社女子大学音楽学科声楽専攻で学んだ私。今城門下でなければ、夢を追いかけるどころか、大学を中退していたでしょう。
芸術を切磋琢磨しながら競いあうキャンパス。様々なことが起こりました。みんな就職など考えもせず音楽で一生生きていきたい人の中で「アナウンサーになる」と公言していた私。にもかかわらず名誉教授の秘蔵っ子とかわいがっていただいていれば、快く思わなかったでしょう。無意識にいろんな人を傷つけたり嫌な思いをさせていたと今ならわかります。当然ながらいろんな噂や嫌がらせを受けました。
ただ、いつも先生は、「どんなことがあっても、大学を辞めてはいけない。辞めれば、君を羨む人間の思うつぼだよ。君は堂々と夢を追えばいい。何も言わなくても、君がどんな人物なのかは僕が知っている。」
と歌も就職も応援してくださいました。NHKに入ったときも大変喜んでくださり、女優となり大奥第一章で松竹座に出演したときは、楽屋にも寄ってくださって、同じ部屋の共演者に「この子は、変わっていて誤解されやすいが、本当は良い子なので、どうかよろしくお願いします。」と深々と頭を下げていってくださいました。いつも私を守り信じてくださる親でした。
一昨年、映画の中でオペラ歌手を演じることとなり、久々にご自宅でレッスンしていただいたときは、「声がよく出るようになった。君のこれまでの人生は、全て芸の肥やしになっているね。」とい言ってくださり、撮影前日には携帯でレッスンしてくださったりと、本当にどこまでも応援してくださいました。
ただ、このレッスンが、先生に直接教えていただけた最後になってしまいました。
今回舞台で少しですが歌わせていただけることとなり、誰よりも先生が喜んでくださるとおもってお電話したら、娘さんがお出になり、実は一週間前にご自宅でお休みになったまま亡くなられたと。まだ大学にもどこにもお知らせしていないんですと。
頭が真っ白になりました。ご高齢なのでコロナなども心配で春にお電話してみたのですが、たまたまお留守でお話しできず。改めてかけたのがこの６月１２日。先生は６月５日に旅立ってしまわれました。どうしてもっと早くかけ直さなかったのか。。後悔してもしきれません。

ただ、オペラ歌手でもある奥様とお話させていただき、「あなたのことを応援していたのはよく覚えています。仏前に報告しておきますから安心してください、きっととても喜びますよ。こんな時代になったけど、舞台で歌えるなんて最高のことじゃない。おめでとう。きっと聴きに行くとおもいますよ」と言ってくださいました。今回芝居の冒頭に、演出でほんの一節歌うだけではありますが、先生に一番褒めていただいたOh mio babbino caro。きっとあのニコニコの笑顔で「シャンソン（先生がつけた私のあだ名）良い声になったね」と言っていただけるように、今城門下生として恥ずかしくないように、精一杯歌いたいと思います。

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