マラミュートのインスタグラム(odakha_official) - 2月11日 10時04分
malamute 21SS collection started
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是非お取り扱い店でご覧いただけましたら幸いです。
21SSは、STAY HOME期間を経て制作したcollectionとなります。malamute 21SS collectionについてお話させて頂きます。
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malamute
2021 spring summer collection
mix
自室で過ごす時間が流れていきました。
デザイナーの小高真理は、椅子に座って机に向かい、これまで訪ねた場所の写真や記録を見返したり、本棚にあったエミリー・ディキンソンの詩集やアンリ・マティスの画集などを手に取って読むことが、日々のルーティンの一部だったと言います。閉ざされた空間からいっときでも離れる手段として、散歩も欠かせませんでした。
「そうした時間の中で、ふいに気になり出したのは単純なことばかりでした。椅子の座り心地を良くしたい。生活に運動を取り入れて身体の歪みを整えたい。丁寧なスキンケアを心がけよう。そんな、自分のライフスタイルを整頓してみたり、フィジカルな方法で改善したりすることでした」
自身の“身体”の状態に関心が向かっていくにつれ、同様に思い起こされたことがありました。
それは、日頃、デザイナー自身が着用しているmalamuteの洋服を、実際に着て感じるさまざまなこと。そして、その感覚を素直に受け入れて、デザインのアップデートに活かしていくという発想です。
アトリエでなく自宅でデザインされた2021年春夏コレクション「mix」は、結果的に、malamuteにとってシーズンの垣根を越えた純度の高いアイテムで構成されました。アンリ・マティスの作品『ブルー・ヌード』(1952)の抽象的な身体(ヌード)と、青色は大きな着想源です。
アーカイブに目を向けた今季は、過去のデザインや製法だけでなく、発表した当時の感情やコンセプト、ワークプロセスといった“過去”からすくいあげた要素を、アンリ・マティスの切り絵を想起させる丁寧な制作工程をもってミックスするように作り上げられました。個人の記憶の中は、時計の針とはまったく異なる速度で、自由自在に回遊することができるのかもしれません。
編み地やカラーを変換しながら、ブランドにとっての“スタンダード”を洗練させることに力が注がれています。例えば、2017年秋冬から展開している、伸縮性の高いスポーツ素材を用い、女性らしい身体のラインを模様の切り替えで立体的に表現したハイゲージニットは、〈gynoid〉と名付けられました(2016年)。ウエストと袖が身体から離れていくようにフレアしています。肌が透ける極薄のハイゲージホールガーメントシリーズ(2019年)や、ゆったりとした波のようなフリルが編み込まれたインターシャーニットの複雑なカーディガン(2019年)。油絵のような花モチーフのジャガードガウン(2018年)、贅沢なクロシェのハンドニットシリーズ(2017年)が揃います。いずれも、継続性のあるデザインを探究しつつ、シェイプの調整や布帛とのドッキング、スタイリングの提案などによって新鮮な表情を模索しています。(それぞれの初発表年)
キーカラーは、グラデーションのある青色です。アイテムや素材の特徴に寄り添いながら明度や彩度に変化がもたらされました。エミリー・ディキンソンのポエムが綴る“自然”や“口紅”といった色彩の捉え方、同じくマティスの『レッド・ダンサー』(1938)も、カラーパレットにインスピレーションを与えました。
過去を現在に結び付けようとする行為は、2019年春夏の着想源のひとつとなった映画『メメント』を思い起こさせます。記憶は、今季のキーワードです。公式インスタグラムで始動した「memoir」は、そのアウトプットの一つの形であり、今シーズンの主なイメージを再編集し、DIY的に製作されたコンセプトキットもその延長にある試みです。
words by Tatsuya Yamaguchi
@ta2yayamaguchi
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2021/2/11