SPURのインスタグラム(spurmagazine) - 1月24日 00時44分


「メタバースの超アナログ版」を渋谷で披露したdoubletの22FWのランウェイショー。渋谷といっても、舞台は“北関東の”渋谷。代々木公園から大型バスに乗車し、約3時間を経てたどり着いた先は、夕暮れ直前の足利だ。

 グリーンの囲いの中に入ると、そこに広がるのはスクランブル交差点。毎朝、通勤中に見る光景を目の当たりに、ショーはスタートした。JRのハチ公口改札を抜け、横断歩道をやってくるモデルは全員がピンクヘアのimma、imma、imma。ヴァーチャルモデルのボディタイプはさまざまで、通り過ぎる横顔にマスクの立体感を確認しながら、脳内はますます混乱した。この世に存在しないヴァーチャルヒューマンが、90年代後半や2000年代のスタイルを漂わせながら時空を超えて闊歩する。でも、関東平野の空っ風に凍える指先はホンモノだし、足利スクランブルシティスタジオまでの道程で想定外の渋滞にはまり、焦った気持ちもホンモノだ。

「パラリンピックを観てすごく感動したんです。そのとき改めて多様性とは何か、と考え始めました。多様性がありながら、誰も多様性について気にしない場所はどこだろう? それはメタバースの空間だと」とデザイナーの井野将之氏。
「そこにはアバターの人のようなのがいて、動物っぽいのもいる。でも『これが多様性だよ』とは誰も思わない」
 属性の境界線のない世界からは、サイズの固定概念も排除した。
「お店でMサイズがある、ではそのMの基準は誰なんだろう?と。世間の常識的に考えられているMではなくて、プラスサイズのモデルから採寸して作ったそれをMサイズとしても、おかしなことではない」
「ファッション界で当たり前だと思われていることでも、違う作り方をしてもいいじゃないか、と考えました。例えば、ファー・フリー運動。僕も動物が大好きなので、毛皮にするのは好ましくないと思っているけれど、現実問題で毛皮になってしまったモノがある。それを改めて使うことは、ファー・フリーからすると、駄目なのか、それとも良いことなのか?」
 今回はサプライヤーで20年もの間、眠っていた襟のパーツを組み合わせたコートが誕生した。裁断の段階で生じるスクラップのパーツから表面の毛を落とし、そこから再加工した糸で編んだ「フェイクファー」の服も生まれた。
 正しい常識、とは何なのか。マジョリティの考えが社会の基準なのだろうか? 彼は少数派にこそ力を感じ、そのエネルギーを無視はしない。そのひとつが「コギャル」だ。
「少数派だけれど日本を動かしていくくらいのエネルギーがあったなと。だから力強いファッションとして、ギャルっぽいファッションを混ぜていきました」
 フィナーレではimmaのマスクを脱ぎ捨てたモデルたちの笑顔が弾けた。ちなみにメタバースを知ったきっかけは情報番組の「スッキリ」、それも最近のこと。紹介されていたメタバース渋谷からアイデアは静かに滑り出し、具現化され、テクノロジーをも超えた超絶アナログ世界が爆誕した。

自分の中の「当たり前」の根拠は、果たして何なのか? 夢のような現実に圧倒された金曜日から、私は自分に問い続けている。

@ダブレット
@imma.gram
#22AW #SPUR編集G


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2022/1/24

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