WWDジャパンのインスタグラム(wwd_jp) - 4月12日 16時01分
コレクション・リポート:「フミエ タナカ」の儚く美しい365日 “頑張りすぎなくていい”という思いをショーに込めて
田中文江デザイナーによる「フミエ タナカ(FUMIE TANAKA)」は、2023-24年秋冬のファッションショーを3月21日に行った。会場は、1年前に前身の「ザ・ダラス(THE DALLAS)」からブランド名を変更後、初のショーを開催した恵比寿ガーデンプレイス中央広場。今季は「フミエ タナカ」としては3回目のショーであり、3部作の最終章だという。“365days”をテーマに、田中デザイナーがこの365日=1年を振り返るように制作したコレクションだ。
1年前の今日は、長引くコロナ禍で不安が募る中、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まり、世の中は暗いムードに包まれていた。田中デザイナーは「昨年のショーでは人々への感謝と、前進する勇気を込めた。けれど、私がみんなに『頑張って!』と言うことで、苦しい思いをさせた人もいたのかもしれない」と振り返る。「みんなはそれぞれで頑張っているし、もう少し自分をかわいがって、たまには休んだっていい。頑張りすぎなくていいんだよ、という思いを今回は伝えたかった」。
今季のショーは、「フミエ タナカ」の昨年からの365日とリンクしている。ファーストルックは、グレーのヘリンボーン生地で仕立てたクロップドジャケットとワンピース、スカートをレイヤードしたスタイル。「ちょうど1年前は戦争のことで頭がいっぱいで、カラフルな服は作れなかった」と田中デザイナー。ミリタリーアウターやカーキのニットなど、ハンサムなルックが続く。
そこから、穏やかなグリーンやボルドーへと色付き、幾何学柄のフリルドレスやボウブラウスなどシーンが華やかに移り変わっていく。ツノ型アクセサリーやレザーのロングブーツカバーなどのディテールから、得意とするエキゾチックなテイストも感じさせる。
田中デザイナーは、昨年9月に「毎日ファッション大賞」で新人賞・資生堂奨励賞を受賞した。その美しい記憶から、フォーマルなモノトーンのセットアップやドレス、ゴールドブラウスなどをランウエイに送り出した。終盤には、秋冬の静けさを表すようにブラック&ホワイトの花柄のドレスを登場させ、ラストには、新たな命が芽吹くようにカラフルな造花を装飾したドレスで締めくくった。
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2023/4/12