SPURのインスタグラム(spurmagazine) - 6月27日 02時45分


2023年6月26日、いわきの空に咲いた「満天の桜」は、この町とひとりの現代芸術家の、30年を超える友情の物語でもありました。

最終目標として99000本の桜をこの土地に植えることを目指す「いわき万本桜プロジェクト」。その代表の志賀忠重さんは、開会にあたり、私たちにこう語りかけました。「震災後、誰も来なくなってしまったふるさとに何かしなければならない。そう思って、万本桜プロジェクトを立ち上げました。誰もが一生のうち一度は来たくなるような場所を創ってみたい、と」「今のペースで行くと、250年から300年くらいかかるような構想です。原発がいいかどうかは別にしても、そのときにあった自分の気持ち、皆の気持ちを忘れないために今後200年、300年と続けていきたいと思っています」

未来の子供たちへの贈り物となるように。このプロジェクトを支援するのが、世界的なアーティストである#蔡国強 さん。彼といわきの出会いは、1988年にまで遡ります。80年代中旬から95年まで日本に暮らした彼がたびたび創作の拠点にしたのが、いわきでした。「彼が初めていわきにやって来て会ったとき、若くて、面白くて純粋で。新しく弟ができたような気持ちになりました。そのときの彼は実績もありませんでしたが、彼が思うことを実現してあげたいと思い、毎日のようにいろいろお手伝いをしました」

蔡国強さんがことばをつなぎます。「私たちはいわきの人たちの思いやりに深く感動し、彼らに心から受け入れられました。それ以来、いわきは第二のふるさとのように感じられるようになりました」「当時の私が考えたスローガンは、この土地で作品を育て、ここから宇宙と対話し、ここの人々と一緒に新しい時代の物語を創る、というものでした」「この30数年間の間、私はいわきの人たちと一緒に小さな港から船を出しました」。アメリカやカナダ、フランスからスペイン、そしてデンマークまで。いわきの人々と共に旅を重ね、世界各地でエキシビションを成功させ、アーティストは成長した。「一緒に髪が白くなり、動きもやや鈍くなってきましたが、人生を通じてお互いにかけがえの無い友人として出会ったことは、本当に幸せなことです」

「この縁は今日、私をいわきの海岸に連れ戻しました。この土地は過去に大地震、津波、そして原子力災害の衝撃を受けました。4万発の花火が、亡くなった命に鎮魂の祈りを捧げ、人間が自然に与えた傷と悲しみに捧げます」。同時に友情を讃え、自然への畏敬の念を表現するためにこの日、披露されたのが「いわき白天花火《満天の桜が咲く日》」。いわきの子供たちの、みずみずしい歓声に彩られながら、大空に見たことのない「菊」や「波」、「記念碑」そして「桜」が舞いました。

イベント後に訪れた「いわき回廊美術館」。植樹された桜の木々と、子どもたちが描いた桜の絵に出会いました。いつか、遥か彼方の宇宙からも、ここ福島の桜が見えるように。30年を超える友情がつなぐ美しいストーリーは、まだ序章に過ぎないのです。

昼花火イベントは、サンローランのコミッションワークとして実現したもの。6月29日より国立新美術館でスタートするサンローラン共催の「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」も、必見です。 

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2023/6/27

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