和泉元彌のインスタグラム(izumimotoya) - 6月30日 11時53分


毎日、父の「よし!」の一言が聞きたくて
修行に励んでいました。

業界でも有名な厳しい師匠でした。
褒めることなどほとんどない。

スパルタでした。が、
口伝という方法ならでは!
全て、師匠である父がやって見せて下さる。
それが見事で、素敵で、
格好良くて、面白くて…。
それができるようになるなら!と、
ずっと憧れ、追いかけていました。

出来たことを見届けて
父は一言「よし!」と言って、
一日の稽古を終わるのです。
その「よし!」の重さと嬉しさは…。

芸に厳しく、弟子に厳しく、
自分に最も厳しい
そんな職人気質の宗家でした。

今日は、
狂言和泉流十九世宗家 和泉元秀の
祥月命日です。

父が亡くなって、28年が経ちました。

21歳で死別したので、
共に過ごした時間をゆうに超えてしまいました。

それでも未だ、自分の目標とするのは
最高の師匠であり、最愛の父である
和泉元秀です。

追いつき、追い越していくのが
弟子としての恩返しだと言われました。

今でも、父の舞台姿、
稽古での厳しい顔、
舞台に響く声は忘れません。

舞台に上がると、稽古をしていると
父を感じることがあります。
耳に残る父の声に、自分の声が重なる…
そんな時は、
自分の中に父が生きている!
と感じます。

今は、毎日の稽古で
父をはじめ、先祖から受け継いだ芸を
自分を通して、次世代の狂言師
和泉元聖、和泉和秀、和泉采明、和泉慶子に繋いでいく日々です。

会ったことのない祖父を
芸を通して感じてほしい。と。

芸は死なない。
そして、父も狂言を通して
僕たちの中に生き続けています。

「父がいてくれたら…」と、
思わないように生きてきました。
57歳で亡くなった父が、
僕たちの思いまで受け取って
後悔しないように。

和泉流現行曲254曲完演という、
和泉流史上初の偉業。
そして、海外への狂言の普及
世界4大喜劇の新作狂言
狂言オペラの上演などなど…
6歳で宗家を継承し、
和泉流の伝統・歴史を守り、
更に、未来への架け橋まで…。
あまりに大きな存在でした。

年齢という数字を数えれば、
あまりに若い!
でも、和泉流の歴史の中で
宗家としての51年は未来にとって
大きな礎となっています。
そんな父に後悔はさせられない。

志半ばというのは、勿体無い人生です。
ただ、
その先の舞台を見てみたかった。
宗家継承者である私が成人を迎え、
宗家継承者成人披露を済ませた後、
「自分のペースで、
好きな狂言を演じていきたい。」
と言っていました。
そんな間はなく、僕が21歳になった
その月末に逝ってしまいました。

親孝行ができないまま、
恩返しができないまま、
別れた気がしています。

伝統を未来に繋いでいくこと!
それこそが恩返しになると信じています。

ペイフォワード

自分が受けた善意、恩を
その先に繋いでいく!

宗家の役目は、
芸を極めること、
自分の芸の確立、だけでは許されません。
芸の継承!
次代に、跡取りに芸を受け渡して
はじめて、役目を終えられます。

自分もこの世を去る時、
子どもたちに、弟子たちに
ちゃんと芸を残していけるように…
そして、
あちらで先祖に、
父に会った時、
胸を張って報告ができるように
頑張り続けます!

父の「よし!」を聞けるように。
父の笑顔に会えるように。

あっちで父母に
「よく頑張ったね」と言って、
抱きしめられたら
こんな有難い往生はないですね…。

あ!母はまだまだ元気ですが🤣

見守っていてください


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2023/6/30

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