村上隆のインスタグラム(takashipom) - 7月25日 11時51分


⑥セキセイインコは、70年代のプラスチックで公団住宅な、浮ついた平和の象徴キャラとして解釈。そしてインコ王国の群衆は、学生紛争?
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ビジュアルとして、大きなミステリーは、インコです。
何故、あそこまで醜い顔なのか。それは、1970年代の団地に住んでいる日本人の自画像ではないか。
僕が子供の頃、ちょっとリッチな人々(私の家が激烈な貧困だったので、他が全てリッチに見えていた、という相対性においてですが・・・)は、みんな、セキセイインコを飼っていました。インコは、言うまでもなく輸入された鳥です。青鷺は日本固有の鳥ですが、うすらハゲのオッサンとなり、セキセイインコは無表情な群衆となり、そこには王がいて、それをみんなで担ぎ上げている、あのシーンは輸入された学生運動のような気がします。
いくつもの劇映画が、学生運動の悲劇を描いていますが、ハヤオさん的には、それを喜劇として描いている。
あのセキセイインコの王様が、最後、石を砕くところも、砕いても何も変わらないという意味において、日本の舶来の政治運動を、クリティカルに表現したのではないかと思いました。

⑦積み上げる石の幾何形体の意味は、日本美術教育の糞ドグマの象徴。
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積み上げる石の形状の問題。みんな、「石」と呼称していますけど、僕ら美大受験勉強を経由した人間達にとっては、幾何学形体という最も忌まわしき石膏を思い出すわけです。映画の中でもその「石」達は、角が欠けていて、よく美術の部屋にあった幾何学形体の石膏そのもの。
大叔父様が語り、幾何学形体が移動する時、なんと、その忌まわしき石膏がキラキラキラ光っているのです。これも僕は、日本の美術教育における馬鹿馬鹿しい西洋式のロジカルな表現を揶揄しているのではないかと思いました。
つまり、美術の教育の第一歩が、幾何学形体であるという悲劇。しかし、そこからスタートした日本の美意識というのは、今の日本の美を形成せず、むしろ西洋のアカデミズムを無視したような漫画芸術が、日本芸術の王道となっている事実…の暗喩なのかなぁ…とか。


⑧大叔父様の世継ぎ問題
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岡田斗司夫さんが、大叔父様のモデルはアインシュタインではないかと言っていて、なるほど、その路線で見て行くと、アインシュタインがハヤオさんに「お前が継げ」と、西欧の科学の真理を差し向けてはみたが、ハヤオさんは、「いやいや私はアニメ作家に身をやつして、それでも未来を生きていきます」という、アインシュタイン=原爆とハヤオさんとの関係性と考えました。

⑨エンドクレジットにおける、「おわり」、「完」、「おしまい」がない意味。そしてなぜ米津玄師か?主題歌の意味
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終劇になって、突然真っ青な色が展開して、米津玄師さんの「地球儀」という歌が歌われます。これは多分、本当に宮﨑駿さんが今まで、ラピュタや千と千尋など、エンディングにまでこだわり抜いて、歌詞を作って、作品を完結させていましたが、今回は若い人に託すという意味で「地球儀」、つまり、人が、自分が自分自身を確認をするための自画像のような、「地球儀」というものをテーマに歌を作ってくれということしか言わず、なので、無背景、歌詞なども注文をせず、若い人に全部託しという意味においてやったんじゃないかと。

そして映画のラストに、「おわり」であるとか、「完」であるとか、「おしまい」であるとか、いろんな終劇のサインが今までは出ていましたけど、今回ないのはなぜか?というと、未来に本当に託して君たちはどう生きるかということを、本当の意味で米津玄師さんの歌とともに皆に問いかけているということではないかと思いました。

以上でした。


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2023/7/25

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