浜崎貴司のインスタグラム(hamazakitakashi_official) - 9月13日 09時53分


以前紹介したコーマック・マッカーシーの小説「ノー・カントリー・フォー・オールド・メン」は

とても面白かった。

とにかく悪い奴が沢山出てきます。

そして誰が主人公なんだかわからない。

これは、主人公イコール「いい人」の構図から、

離れられない私の了見の狭さなのか?

こういのをピカレスク小説といいます。

日本語にすると悪漢小説。

日本だと馳星周さんなどが書く小説がそれです。

よく人は性善説なのか、性悪説なのか、と議論になりますが、

ピカレスク小説では悪は必然的に存在します。

話は飛びますが、昔は田舎だと家に鍵などかけませんでした。

出かける時も、玄関の鍵はかけますが、

勝手口の鍵はかけなかったりしたのです。

これは性善説の話ですよね。

でもそんな単純な話じゃなかった。

実家の近所のおじさんは、猟銃を持っていて、

飼っていたポインターを連れて、

どこかに猟に出かけていました。

よく猟銃を抱えて出かける姿を子供の頃見ていたのです。

そのおじさんはある日逮捕されたのです。

飲み屋で酔っ払って、お店の人とトラブルになり、

店に立てこもったと聞きました。

その頃、幼稚園で一緒だった私の友人は電車に轢かれて亡くなりました。

そして近所の奥さんは、

育児ノイローゼで自分の赤ちゃんを殺したという噂が流れ、

私の同級生のお父さんが勤務していた警察署は、

過激派思想に影響を受けた学生が仕掛けた爆弾で、

同僚が手を吹き飛ばされてしまいました。

私が住んでいた田舎でさえ、

いろんな事件が起きたのです。

人は安全を確保しようとして、

原始時代から様々な努力をしてきました。

善という考え方も、もしかしたらその手立てのひとつかもしれません。

しかしいまだになくならない様々な暴力やトラブル。

ピカレスク小説はそんな現実の実体を捉えようとしています。

で、我々はそこから何を学ぶのか?

それとも描かれた悪に妙な共感を抱くのか?

人間社会の構造はカオスで、

良くわからない事ばかりです。

プーチン大統領も、

ジャニーズ事務所の問題も、

とんでもない熱狂を生み出したカリスマの異常な行い。

さらにAIが発達して、フェイクと真実の見分けがつかなくなる時代を、

人は一体どう受け止めるのか?

愛なんていう言葉は単純すぎて、

今やこのカオスの前で、

なんの効力もなくなりそうですが、

でも単純だからこそまた別の力を宿して、

我々に必要な力を再び提示してくれるかもしれません。

って、話が長くなってしまいました。

写真は北海道ツアーの際に行った野付半島。

ここに行った時、コーマック・マッカーシーの描く世界をふと思い出しました。

地の果てのイメージ。

ついスマホを取り出して、

ライ・クーダーの、

映画「パリ、テキサス」で使われたスライドギターを再生。

心の奥底の孤独が、あっという間に自分の中にいっぱいになりました。

そして音楽表現の豊かさを学びました。

あーそーか…。

人間が冷静に自分達の悪について表現したり、

語り合えているうちは、

まだ大丈夫なんだと、ふと思いました。

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2023/9/13

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