平泉春奈さんのインスタグラム写真 - (平泉春奈Instagram)「⁡ 『愛と知るまでの5年間』 ⁡ ⁡ 俺には忘れてはいけない時間がある。 ⁡ * ⁡ 「元気にしてた?」 ありきたりな挨拶で彼女の様子を伺う。 「うん。智樹も元気そうで、なんか安心した」 柔らかい眼差し。目尻にうっすら入ったシワ。それらは加齢ではないもので形成されたのだと分かる。なぜなら、今俺を見つめる優しい笑顔は、決して自分の記憶の中にはなかったものだから。 「仕事に忙殺される日々だったけど……とりあえず気力だけでここまで来たかな」 当たり障りのない、ありきたりなセリフ。こんな事を言うために彼女に会いに来たわけじゃないのに。 「ふふ、相変わらずだったんだね。でもなんか……顔付き変わった。色々な事乗り越えて来たんだなって分かるよ」 「いや、むしろ……」 ⁡ 5年ぶりに会った彼女の変化の方が、ずっと大きく感じる。 ⁡ 当時、不器用だけど一生懸命だった彼女は、仕事が忙しい俺に健気に尽くしてくれてた。俺は、彼女に甘えることが当たり前になっていた。仕事のストレスをぶつけてしまっては、怒らずに悲しむ彼女を見るのが辛くて、夜の街に1人で出かけて飲み歩くこともあった。酔った勢いで眠る彼女を起こして無理やり抱いたこともあった。そんな時彼女は最初嫌がるものの、最後は必ず優しく受け入れてくれた。自分が精神的に不安定な時彼女にしてしまうことは、少なからず自己嫌悪に繋がっていた。それでも外で気を張ってる俺にとって彼女は唯一心から甘えられる存在だった。自己中でワガママな愛し方。反吐が出るほど歪んだ愛情。それでも彼女はいつだって俺に、優しかった。 ⁡ 俺はずっと、どんな自分も彼女は受け入れてくれる、付いてきてくれると、信じて疑わなかった。彼女がそんな俺に突然別れを告げ、目の前からいなくなるその時まで、彼女の存在がどれだけ自分にとって必要不可欠だったのか、気付けなかった。 ⁡ 変わりたい。たった1人の女の子を幸せにできなかった自分に絶望し、堕ちるとこまで堕ちてから、最後に行き着いた想いだった。誰かを幸せにするなんて、もうできないかもしれない。でも、俺が俺を認めることができなければきっとこの先、自分が生きてる意味を見出すこともできないだろう。5年間そんな想いを抱えて生きてきた気がする。 ⁡ 俺は今日、どうしても彼女に伝えたいことがあった。だから、会いに来たんだ。 ⁡ 「あのさ、俺……あの時……」 言葉がうまく出ない。当然だ。これはただ、自分が次に進む為の一方的なエゴに過ぎないのだから。でも、伝えなければ。 「あの時俺、翠のことちゃんと……」 “愛せていた?”ちがう。“愛していたんだよ、本当は。うまくできなかったけど、本当に大好きだったんだ。だからこうなってしまったこと、すごく後悔してるんだ。ごめん、本当にごめんなさい” その言葉が出ない。どうしても。 ⁡ 沈黙を破ったのは彼女だった。 ⁡ 「分かってるよ。智樹は私のこと、すごく愛してくれてた」 彼女はそう言って優しく微笑む。 「むしろ私の方が、その愛の深さに耐えられなくなって逃げたの。智樹の愛し方は不器用だったかもしれないけど、私は幸せだった。なのに……悪いのは私だよ。ごめんなさい。今日智樹に会えることになって、ただあの日のことを謝りたいって思った。やっと、言えた…」 彼女は今日1番の笑顔で深く息を吐き出し、身体の力が抜けたみたいに空を仰いだ。 ⁡ 暗い海の底で息継ぎもできず、なのに命も絶つことができないで浮遊し続けていた哀れな生き物は、5年という時を経てようやく光が当たる外の世界へと解き放たれた。空気のおいしさを知り、その場所がこんなにも美しいのだと気づいて、思わず涙が溢れた。 ⁡ やっと知ることができた。認めることができた。許された。あれが、あのどうしようもない感情が愛だったのだと。 ⁡ 俺は改めて、彼女を見た。今目の前にいる彼女は明らかに、俺が知る彼女ではなかった。 俺があの日の後悔を忘れまいともがき苦しみながら生きてきた中で、彼女もまた、無情に進みゆく時間の中で確かな道を自ら切り開いていったのだ。  ⁡ 「元気で……幸せに、なれよ」 「ありがとう……あなたも」 ⁡ 別れ際、甘い金木犀の香りを纏った風が優しく吹き抜けた。彼女がフワリと舞う髪の毛を指で押さえた瞬間、薬指がキラリと光った。秋の訪れと共に、甘苦い記憶が静かに風化していくのを感じた。 ⁡ ⁡ end ⁡ ====================== ⁡ 後悔した愛の記憶を持ってる人たちに捧げたい物語です。過去は変えられる。今この瞬間にも(前にも別の投稿で伝えた話なので詳しくは割愛) ⁡ ⁡ ⁡ ⁡ #カップルイラスト #後悔してる恋愛 #別れ #再会 #元カノ #元彼 #切ない #成長 #浄化  #イラスト 胸キュン #イラストレーション #キュン #カップル #アート #恋愛 #ドローイング #アート #妄想 #幸せ #恋愛 #ポエム #美男美女 #恋愛小説 #創作ポエム #創作 #illustration #coupleillustration #couple #lovers」10月17日 20時15分 - hiraizumiharuna0204

平泉春奈のインスタグラム(hiraizumiharuna0204) - 10月17日 20時15分



『愛と知るまでの5年間』


俺には忘れてはいけない時間がある。



「元気にしてた?」
ありきたりな挨拶で彼女の様子を伺う。
「うん。智樹も元気そうで、なんか安心した」
柔らかい眼差し。目尻にうっすら入ったシワ。それらは加齢ではないもので形成されたのだと分かる。なぜなら、今俺を見つめる優しい笑顔は、決して自分の記憶の中にはなかったものだから。
「仕事に忙殺される日々だったけど……とりあえず気力だけでここまで来たかな」
当たり障りのない、ありきたりなセリフ。こんな事を言うために彼女に会いに来たわけじゃないのに。
「ふふ、相変わらずだったんだね。でもなんか……顔付き変わった。色々な事乗り越えて来たんだなって分かるよ」
「いや、むしろ……」

5年ぶりに会った彼女の変化の方が、ずっと大きく感じる。

当時、不器用だけど一生懸命だった彼女は、仕事が忙しい俺に健気に尽くしてくれてた。俺は、彼女に甘えることが当たり前になっていた。仕事のストレスをぶつけてしまっては、怒らずに悲しむ彼女を見るのが辛くて、夜の街に1人で出かけて飲み歩くこともあった。酔った勢いで眠る彼女を起こして無理やり抱いたこともあった。そんな時彼女は最初嫌がるものの、最後は必ず優しく受け入れてくれた。自分が精神的に不安定な時彼女にしてしまうことは、少なからず自己嫌悪に繋がっていた。それでも外で気を張ってる俺にとって彼女は唯一心から甘えられる存在だった。自己中でワガママな愛し方。反吐が出るほど歪んだ愛情。それでも彼女はいつだって俺に、優しかった。

俺はずっと、どんな自分も彼女は受け入れてくれる、付いてきてくれると、信じて疑わなかった。彼女がそんな俺に突然別れを告げ、目の前からいなくなるその時まで、彼女の存在がどれだけ自分にとって必要不可欠だったのか、気付けなかった。

変わりたい。たった1人の女の子を幸せにできなかった自分に絶望し、堕ちるとこまで堕ちてから、最後に行き着いた想いだった。誰かを幸せにするなんて、もうできないかもしれない。でも、俺が俺を認めることができなければきっとこの先、自分が生きてる意味を見出すこともできないだろう。5年間そんな想いを抱えて生きてきた気がする。

俺は今日、どうしても彼女に伝えたいことがあった。だから、会いに来たんだ。

「あのさ、俺……あの時……」
言葉がうまく出ない。当然だ。これはただ、自分が次に進む為の一方的なエゴに過ぎないのだから。でも、伝えなければ。
「あの時俺、翠のことちゃんと……」
“愛せていた?”ちがう。“愛していたんだよ、本当は。うまくできなかったけど、本当に大好きだったんだ。だからこうなってしまったこと、すごく後悔してるんだ。ごめん、本当にごめんなさい”
その言葉が出ない。どうしても。

沈黙を破ったのは彼女だった。

「分かってるよ。智樹は私のこと、すごく愛してくれてた」
彼女はそう言って優しく微笑む。
「むしろ私の方が、その愛の深さに耐えられなくなって逃げたの。智樹の愛し方は不器用だったかもしれないけど、私は幸せだった。なのに……悪いのは私だよ。ごめんなさい。今日智樹に会えることになって、ただあの日のことを謝りたいって思った。やっと、言えた…」
彼女は今日1番の笑顔で深く息を吐き出し、身体の力が抜けたみたいに空を仰いだ。

暗い海の底で息継ぎもできず、なのに命も絶つことができないで浮遊し続けていた哀れな生き物は、5年という時を経てようやく光が当たる外の世界へと解き放たれた。空気のおいしさを知り、その場所がこんなにも美しいのだと気づいて、思わず涙が溢れた。

やっと知ることができた。認めることができた。許された。あれが、あのどうしようもない感情が愛だったのだと。

俺は改めて、彼女を見た。今目の前にいる彼女は明らかに、俺が知る彼女ではなかった。
俺があの日の後悔を忘れまいともがき苦しみながら生きてきた中で、彼女もまた、無情に進みゆく時間の中で確かな道を自ら切り開いていったのだ。 

「元気で……幸せに、なれよ」
「ありがとう……あなたも」

別れ際、甘い金木犀の香りを纏った風が優しく吹き抜けた。彼女がフワリと舞う髪の毛を指で押さえた瞬間、薬指がキラリと光った。秋の訪れと共に、甘苦い記憶が静かに風化していくのを感じた。


end

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後悔した愛の記憶を持ってる人たちに捧げたい物語です。過去は変えられる。今この瞬間にも(前にも別の投稿で伝えた話なので詳しくは割愛)




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2023/10/17

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