西木ファビアン勇貫のインスタグラム(fabian_westwood) - 11月4日 10時41分
しんどい。
読むのしんどいよ、この本は。
僕は朝井リョウさんの本は大体しんどいけど、この本は特にしんどかった。
できれば読みたくなかったとさえ思う。
東畑開人さんの解説にも『読む前の自分には戻れない、気迫の長編小説』とあるが、本当にその通り。戻れない。
感想書くのもしんどい。
だからこそ色々な人に読んでほしい。
最大多数の最大幸福を追求する民主主義の行き詰まりのような小説。
今月映画が公開されるがどのように描かれているのか気になりすぎる。
メインとなる主人公は三人。
———あらすじ(公式より)———
息子が不登校になった検事・寺井啓喜。
初めての恋に気づいた女子大生・神戸八重子。
ひとつの秘密を抱える契約社員・桐生夏月。
ある人物の事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり合う。
しかしその繋がりは、"多様性を尊重する時代"にとって、
ひどく不都合なものだった――。
「自分が想像できる"多様性"だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな」
これは共感を呼ぶ傑作か? 目を背けたくなる問題作か?
———感想———
多様性——ここ10年よく耳にするワード。
『マジョリティはそれだけで生きていきやすい、だからこそマイノリティに優しくしましょう』という現代に良しとされている価値観。それに対する強烈なアンチテーゼになっているキャラクターが登場する。
また『マイノリティに多少の緩和や配慮したところで、マジョリティが既にこの世界のルールや法律を作ってしまっているので、根本的な解決にはならない』のような、巷でよく言われている意見(まあ男女も、男がルール作ってるから女性が生きにくいと言われてるけど)が陳腐に見えるというか、もし多少の歩み寄りがあったとところで、僕らの生きづらさは変わらないですよと、と思っているキャラクターの造形が凄すぎる。
現代でマイノリティとして扱われているものは、マイノリティの中ではマジョリティであって、本当はその網にもかからないマイノリティ中のマイノリティが存在するけれど、そこまで想像力働かせて生きてるか?と問うてくる。
普通の小説なら、佐々木佳道と桐生夏月が社会と隔離されながらも自分たちの心休まる場所を見つけて、ハッピーエンドとまではいかないまでも、ある種の『光』を見つけた時点で終わると思うが、この小説はそうではない。
自分の信じる多様性を暴走モードで推し進める八重子にも、最後に大也との衝突によって本当の意味での〝繋がり〟の火種を感じたところには救いがあった。
ある意味、最も社会性をまとって、繋がりの中で生きていそうな寺井が、最も心の繋がりを持てておらず、佐々木佳道と桐生夏月の〝繋がり〟を理解できないシーンも良かった。
ハッピーエンドではなく、それぞれがこれから向き合う課題が残ったままのラストにしているのも、朝井リョウさん自体が世の中に問うてるんだろうし、ある種、社会に対する諦めのようなものが入り混じっているのかもしれない。
僕はこの手の話題は、普段語ることはない。そういう機会も局面もない。だからこそ「なんで語らへんねん?」と心を無理矢理こじ開けられたような感覚。
以下、印象に残ったセリフと心理描写。
『あってはならない感情なんて、この世にないんだから』
『「結局さ、人間が想像できないことのほうが圧倒的に多いのにね」』
『自分とは違う人が生きやすくなる世界とはつまり、明日の自分が生きやすくなる世界でもあるのに』
『お前はお前のことしかわからない。お願いだからまずそのことをわかれ。他者を理解しようとするな』
特に最後のセリフが好きだった。
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2023/11/4