猫沢エミのインスタグラム(necozawaemi) - 3月13日 00時22分

久しぶりの半休満喫デーに、ザ・シェイプ・オブ・ウォーターを観に行きました。ハリウッド臭さがないとは言い切れないけれど、ほの暗いファンタジー感は、ジャン＝ピエール・ジュネの《デリカテッセン》を彷彿とする心地よさがあって、ひっそりと水槽の底へうずくまるような、人が誰しも抱える孤独を優しい手でなでられるような気持ちになりました。ファンタジーに散りばめられた、戦後アメリカ社会の病理的なアンチテーゼにくっきりと毒が盛られているのもすごく良かった。しかし夜の時間を描いた映画って、何故こうも心地よいのか。物語が展開する前の冒頭部分が、理屈抜きに好きでした。文学でも思うことなんだけど、文体そのもので読ませる作家と、物語の展開で面白く読ませる作家がいる。両方兼ね備えていれば最強だ。この映画は場面ごとに、このふたりの作家が入れ替わり立ち替わり出てきた感じがした。それとね、主人公のイライザが、相手がたとえ誰だったとしても、恋を手に入れ、幸せそうな顔をして赤いヒールを履くのがたまらなく良かったよ。そう、それだ。って思わず声が出そうでした。

#猫沢映画館

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