日高光啓のインスタグラム(skyhidaka) - 8月15日 20時25分
④
「これは人を殺しかねない!」
美容師さんがすっかり茹で上がった真っ赤な顔でドアを開けた。
散髪してもらう前に常備しているOS1を渡すと見る間に飲み干してしまい、自ら部屋を出ずとも外の様子が伺える。
ちょうど終戦記念日だが、幼少期はこの時期は熊本で過ごすことが多かった。正午にサイレンが鳴って黙祷した事をよく覚えている。
あの頃より明らかに夏は暑くなった。
あの頃より明らかに肌は白くなった。
あの頃とは違い髪が金色になって、あの頃は飲まなかったカフェラテを飲んでいる。
多分忘れてしまった思い出も多いのであろう。切り落とされた髪の毛は床の色と馴染んで見えづらく、そのまま包まれてゴミ箱に捨てられていった。
すっかり痛んで死んでいった金髪の、その屍の上に立つように、次から次へと黒い髪の毛が生えてくる。
あの小学生の頃からは想像もしていなかった2020年に立ちながら、75年前に思いを偲ばせ、未来の話をしている。
誰かの生きたかった未来を生きながら死にたくもないのに死にたがる毎日を過ごして、また愛や平和を歌っている。
何が幸せなのかなど考えだすと無いものばかりを数えてしまうから、最期に生きてて良かったと思いながら死んでいける事をせめて目指したいし、
そうでない人が一人でも少なくなれば良いよなぁと思いながら、散髪が終わった。もう昼過ぎ、35度を越えていた。
肩についた死んだ髪の毛を払って、また未来に向けての打ち合わせをしている。
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2020/8/15