猫沢エミのインスタグラム(necozawaemi) - 10月10日 20時59分
昨夜、32歳で急逝した歌人 萩原慎一郎の歌集《滑走路》を読了す。
若くして自死した人の歌だから、どんなにか重く暗いのか…と身構えていたら、あとに残るのは、まるでソーダ水の泡のような切なさや、青春の光や、未来を夢見る平原の風のような爽やかさばかりだった。
立派な学を修め、豊かな感性を持ち、心優しいこの歌人の生き場所がなかった。現代日本社会には。
個性も自我も赦されぬ、殺伐とした精神の荒れ野で、萩原さんは歌を謳い続けた。自分が自分であるために。
私は自死という、あるひとつの選択を否定も肯定もしない。そして、生と死のはっきりした区別もあまりない。生きながらに死んでいるような人はたくさんいるし、萩原さんのように歌に形を変えて生き続ける人もいる。
命からがら日々を生きる、かろうじてまだ生の世界に身を留めている私たちへ、あちらの世界から歌が聞こえる。
その歌は、死んでしまいたいほど辛くちっぽけな日々と、丸まった私たちの背中をみずみずしい三十一音の連なりで、労わるように撫でてくれるのだ。
《きみのため用意されたる滑走路きみは翼を手にすればいい》
#猫沢図書館 #萩原慎一郎 #滑走路
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2020/10/10