小山田大さんのインスタグラム写真 - (小山田大Instagram)「昨日、日之影の開拓地でトライを続けていた通称足場プロジェクトをついに登る事が出来た。  このプロジェクトのある岩は去年の春くらいにはその存在を確認していた。 狭いゴルジュの中に大きな岩が幾重にも積み重なり洞窟を形成しているその行き詰まりに鎮座する巨大なチョックストーン。 そのチョックストーンの裏側は150度に前傾した美しい壁になっており、顕著なスタートからリップまで奇跡的にホールドが繋がっていた。 文句の付けようがない素晴らしい壁だ、ただ一つだけ欠点があった。 地面が無い、ランディングが無かったのである。 ボルダーとして登るには致命的とも言える欠点にその時はただ素晴らしい壁を前に指をくわえて見る他無かった。  去年の秋から開始した九州ツアーではこの岩のあるエリアを公開する予定もあり、集中して開拓する事になった。 いくつかのハードなプロジェクトも完成させ、諦めていたチョックストーンのラインが気になった。 何とかして登れないかと考察した結果、足場を組みランディングを作ればボルダーとして登る事が可能なのではないかとの結論に達した。 ただ、一人ではどうしようも無い作業量が必要に思えた。 そこで、日之影ボルダーの清川さんに相談したところ「やりましょう!」との返事を頂けた。 雪の降る氷点下の中、丸々二日間作業に費やし、なんとか七割方完成させた。 大変な作業だったと思う。 清川さんには感謝してもしきれない。 その後、三日間程一人で作業を続け、なんとか登れる状態まで仕上げた。 こうして、このラインをトライ出来る様になったのである。  しかし、ランディングを作ってトライ出来るようになったにも関わらず、なかなかこのプロジェクトに足が向かなかった。 いくつかの理由があったが、一番の理由はもしもムーブが出来なかったら、という恐れだった。 だから、トライ初日は緊張した。 その日、一番懸念していた下部の浅い二本指からのランジに成功し、このラインが現実的なものになった。 ほぼ全てのホールドがポケットで構成されているこのプロジェクトは指の痛みとの闘いでもあった。 最初の頃は指の脇の皮がすぐに剥けてあまりトライ出来なかったのだが、最終的には硬く変化していた。 昔、ポケットを集中してやっていた頃の感覚を思い出し、懐かしんだ。 このプロジェクトはトライする度にその奇跡とも思えるホールドの配置とムーブに感動した。 そして、このラインとやり合えるだけの体力が自分に残っていた、そのタイミングでのこの岩との巡り合わせに感謝した。  登れた日は、最初のムーブのチェック段階で完登を予感した。 数回のトライで今までの最高高度に達するも、気負いからかその後ランジが止まらなくなり、諦めかけた頃に気持ちが軽くなった。 ランジが止まり、その後は気合いで繋げた。 最後まで悪かった。 岩の上に立った時に、長い間忘れていたような大きな喜びを感じた。 生涯、最高傑作の一本だろう。  このプロジェクトとは良い時間を過ごせた。 岩は硬くインナーホールドで構成されているこのラインは比較的長く後世に残るだろう。 ただし、ランディングは石よりも寿命が短い木で出来ている。 ランディングが腐り無くなった後に、また再び強い情熱を持ったクライマーがこの課題を登る日が来るかどうか、それはまだ解らない。  #日之影ボルダー」3月21日 9時10分 - dai_koyamada

小山田大のインスタグラム(dai_koyamada) - 3月21日 09時10分


昨日、日之影の開拓地でトライを続けていた通称足場プロジェクトをついに登る事が出来た。

このプロジェクトのある岩は去年の春くらいにはその存在を確認していた。
狭いゴルジュの中に大きな岩が幾重にも積み重なり洞窟を形成しているその行き詰まりに鎮座する巨大なチョックストーン。
そのチョックストーンの裏側は150度に前傾した美しい壁になっており、顕著なスタートからリップまで奇跡的にホールドが繋がっていた。
文句の付けようがない素晴らしい壁だ、ただ一つだけ欠点があった。
地面が無い、ランディングが無かったのである。
ボルダーとして登るには致命的とも言える欠点にその時はただ素晴らしい壁を前に指をくわえて見る他無かった。

去年の秋から開始した九州ツアーではこの岩のあるエリアを公開する予定もあり、集中して開拓する事になった。
いくつかのハードなプロジェクトも完成させ、諦めていたチョックストーンのラインが気になった。
何とかして登れないかと考察した結果、足場を組みランディングを作ればボルダーとして登る事が可能なのではないかとの結論に達した。
ただ、一人ではどうしようも無い作業量が必要に思えた。
そこで、日之影ボルダーの清川さんに相談したところ「やりましょう!」との返事を頂けた。
雪の降る氷点下の中、丸々二日間作業に費やし、なんとか七割方完成させた。
大変な作業だったと思う。
清川さんには感謝してもしきれない。
その後、三日間程一人で作業を続け、なんとか登れる状態まで仕上げた。
こうして、このラインをトライ出来る様になったのである。

しかし、ランディングを作ってトライ出来るようになったにも関わらず、なかなかこのプロジェクトに足が向かなかった。
いくつかの理由があったが、一番の理由はもしもムーブが出来なかったら、という恐れだった。
だから、トライ初日は緊張した。
その日、一番懸念していた下部の浅い二本指からのランジに成功し、このラインが現実的なものになった。
ほぼ全てのホールドがポケットで構成されているこのプロジェクトは指の痛みとの闘いでもあった。
最初の頃は指の脇の皮がすぐに剥けてあまりトライ出来なかったのだが、最終的には硬く変化していた。
昔、ポケットを集中してやっていた頃の感覚を思い出し、懐かしんだ。
このプロジェクトはトライする度にその奇跡とも思えるホールドの配置とムーブに感動した。
そして、このラインとやり合えるだけの体力が自分に残っていた、そのタイミングでのこの岩との巡り合わせに感謝した。

登れた日は、最初のムーブのチェック段階で完登を予感した。
数回のトライで今までの最高高度に達するも、気負いからかその後ランジが止まらなくなり、諦めかけた頃に気持ちが軽くなった。
ランジが止まり、その後は気合いで繋げた。
最後まで悪かった。
岩の上に立った時に、長い間忘れていたような大きな喜びを感じた。
生涯、最高傑作の一本だろう。

このプロジェクトとは良い時間を過ごせた。
岩は硬くインナーホールドで構成されているこのラインは比較的長く後世に残るだろう。
ただし、ランディングは石よりも寿命が短い木で出来ている。
ランディングが腐り無くなった後に、また再び強い情熱を持ったクライマーがこの課題を登る日が来るかどうか、それはまだ解らない。

#日之影ボルダー


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2023/3/21

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