ベルのインスタグラム(belle.gokigenyou) - 4月2日 21時01分

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井戸川射子さんの芥川賞受賞作『この世の喜びよ』を読了。

表題作は、自立間際の娘を2人を持ち、ショッピングモールの喪服店で働く女性の日常を描いています。

特徴は、語り手が主人公を「あなた」呼びする二人称小説であること。

作者は「見守られてる」視線を出したかったようです。

たしかに、主人公の過去を思い出しながら生きている様子や生活圏の狭さといった、漂う孤独にほどよい距離と承認を与えてくれるものではありました。

しかし、私には「見透かされている」視線も感じ、
また語り手と主人公が混濁したような少々不気味な読書体験でした。

作者が元々詩作をしているということもあってか、一文が長く読点を多く使用しており、掴めそうで掴みきれないところも含めて魅力なのかもしれません。

“女性を見つめる”ことをテーマとしているところも含め、なんとなくですが川上未映子さんの『乳と卵』がよぎりました。

選評が気になりすぎて文藝春秋を購入。
ガイドもできたので、再読したいと思います！

桜に気を取られがちですが、水仙の美しさに気づくこともまた、この世の喜びでしょう。

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