ヤマザキマリのインスタグラム(thermariyamazaki) - 11月3日 11時08分

「あの子はハバナから来た娼婦だよ」とそばにいたキューバ人の友人が、彼女が立ち去ったあと、淡々とした口調で言った。

お金がない幸せ、などと浮かれているのは私たちのような外国人だけであって、多くの人たちは日々の生活を脅かす困窮から逃れるために必死なのだということを、改めて思い知らされた。

去って行く車のバックミラーに映る、青く輝くカリブ海を背景にいつまでも手を振る彼女のどこか心細そうな姿は、そこにいた我々全ての脳裏にキューバでの印象的な思い出のひとつとして、いつまでも焼きつくことになる

ヤマザキマリ『扉の向う側』より
マガジンハウス　11月2日刊行

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