林信行さんのインスタグラム写真 - (林信行Instagram)「世界にその名を轟かせた名和晃平。 その完成したばかりの新作が20点集められた必見の個展  Oracle ― 20 works, all made in 2020. A MUST-SEE solo exhibition by Koehei Nawa  アートに詳しくない人でもNew Yorkのメトロポリタン美術館の名は聞いたことがあるだろう。その日本美術のキュレーター、ジョン・カーペンター氏とは個人的に親しいが、彼に初めて展示を案内してもらった時、「日本美術コレクションで一番人気はやはりコレ」と指したのが名和晃平さんのPixCell-Deerだった。  アートに疎い人でもパリのルーヴル美術館を知らない人はいないだろう。一昨年、そのルーヴル美術館の中央、ガラスのピラミッドに、まるでパリの新しいシンボルかのようなAI時代をテーマにした「Throne」という作品を展示。人気で期間が何度か延長されたのも名和晃平さんだ。 鎮座100年目の明治神宮に新しくできた明治神宮ミュージアム。その入り口に飾られた大きな白い鹿の作品、White Deer。これまた名和晃平さん。 名和晃平さんは間違いなく、日本を代表する若手現代アート作家の筆頭だ。  世界で引っ張りだこの名和さんも、このコロナ禍では日本で過ごす時間が増えたという。それがきっかけでとりくんだ意欲的新作が大集結したのがGYRE Galleryで始まった個展「Oracle」。  展覧会のシンボルとなっている作品「Trans-Sacred Deer」は神鹿の彫刻。 鹿に乗って鹿島から春日へと向かった武甕槌命(たけみかづちのみこと)の伝説に基づく「春日神鹿舎利厨子(かすがしんろくしゃりずし)」の像。名和さんは鎌倉ー南北朝時代に製作された像がお気に入りで、それをモチーフに3Dシステム上でデータを制作し、木彫、漆塗り、箔押しなど京都の伝統的技法で仕上げたというが、神鹿自体も雲のような造形でより神秘的になっている。きらびやかさも加わり圧倒的な存在感だ。  今回、この作品を含めプレスツアーで名和さんが1つ1つの作品を紹介してくれた様子を動画で撮影したので、他の作品を含め、私の言葉ではなく名和さん自身の声による生の解説を楽しんでもらえればと思うが、Blue Seedという作品の美しさだけは特筆しておかなければならない(動画の完全版はYouTubeやFacebookに投稿する)。  白濁色のキャンバスに、淡い紫色で線画が描かれた作品なのだが、しばらく眺めていると絵の形が徐々に変わっていく。  コンピューター映像?と思って額を見直すも電源のようなものは見当たらない。近寄って見ても、デジタル表示の特徴「ピクセル(画素)」も見えない。  実はこれ紫外線を蓄光できる特殊顔料が塗布された半透過性の板にUVレーザーを照射して描いているという。手をかざしてみると、天井に隠された投影機からのレーザー光が手に写った。  さっきまで紫色に染まっていた部分が、しばらく時間が経つと、うっすらと色が引いて白に戻っていくが、その間合いがなんとも心地よい。陶酔していつまででも眺めていられる。  ちなみにUVレーザー光が描いているのは植物の種子や胚珠の断面。個として成長する可能性を持つ種子や胚珠のイメージに、「生命の誕生や存在の儚さ、明滅しながら維持されるシステムとしての永続性」を重ねたのだという。  解説ビデオ中の名和さんのマスクの柄にもなっている作品「Moment」にも圧倒される勢いを感じさせた。15度の角度の線は、針のような筆の下に置かれたキャンバスを動かしてつけられた。あの巨大な作品の繊細な線1本1本を、スタッフたちが掛け声でキャンバスを押して描いている様子を想像すると驚きしか湧いてこない。  展覧会入り口で出迎えるPixCellのカラスの作品、油絵具と油の混合特性で変化を続けるBlack Field、火星の砂丘に天災や疫病も多かった鎌倉時代「方丈記」に描かれた無常観を重ねあわせたドローイングの「Dune」(昨年発表した映像作品「Tornscape」をドローイング化しようとして誕生)など、どれも見応えのある作品ばかり19点がGYRE Galleryを埋めている。  19?冒頭で20と書いていたではないかと思う人もいるかも知れないが、20点目はギャラリーの外、GYREの大きな吹き抜けに展示されている(GYRE GALLERYでは、いつも展示中のアーティストが、この吹き抜けにも作品を展示するのだ)。6つの作品を合わせてつくられた背の高い展示で、できれば地下のHAYから5階までガラスのエレベーターに乗って見るのがオススメの鑑賞法だ。  なお、11/3までと短いが、明治神宮の南神門にも「Ho/Oh」という鳳凰を象った名和晃平作品が展示されている(12月13日までの明治神宮ミュージアムのWhite Deerに加えての展示だ)。併せて見ておけば、海外の名和晃平ファンへのコロナ明けの土産話になる。  名和晃平 (KOHEI NAWA) Oracle GYRE GALLERY  2020.10.23-2021.1.31  (DESIGNARTをはじめとするデザイン、アート関係のイベントが一斉に始まったこの後連投が続きます)」10月24日 11時58分 - nobihaya

林信行のインスタグラム(nobihaya) - 10月24日 11時58分


世界にその名を轟かせた名和晃平。
その完成したばかりの新作が20点集められた必見の個展

Oracle ― 20 works, all made in 2020.
A MUST-SEE solo exhibition by Koehei Nawa

アートに詳しくない人でもNew Yorkのメトロポリタン美術館の名は聞いたことがあるだろう。その日本美術のキュレーター、ジョン・カーペンター氏とは個人的に親しいが、彼に初めて展示を案内してもらった時、「日本美術コレクションで一番人気はやはりコレ」と指したのが名和晃平さんのPixCell-Deerだった。

アートに疎い人でもパリのルーヴル美術館を知らない人はいないだろう。一昨年、そのルーヴル美術館の中央、ガラスのピラミッドに、まるでパリの新しいシンボルかのようなAI時代をテーマにした「Throne」という作品を展示。人気で期間が何度か延長されたのも名和晃平さんだ。
鎮座100年目の明治神宮に新しくできた明治神宮ミュージアム。その入り口に飾られた大きな白い鹿の作品、White Deer。これまた名和晃平さん。
名和晃平さんは間違いなく、日本を代表する若手現代アート作家の筆頭だ。

世界で引っ張りだこの名和さんも、このコロナ禍では日本で過ごす時間が増えたという。それがきっかけでとりくんだ意欲的新作が大集結したのがGYRE Galleryで始まった個展「Oracle」。

展覧会のシンボルとなっている作品「Trans-Sacred Deer」は神鹿の彫刻。
鹿に乗って鹿島から春日へと向かった武甕槌命(たけみかづちのみこと)の伝説に基づく「春日神鹿舎利厨子(かすがしんろくしゃりずし)」の像。名和さんは鎌倉ー南北朝時代に製作された像がお気に入りで、それをモチーフに3Dシステム上でデータを制作し、木彫、漆塗り、箔押しなど京都の伝統的技法で仕上げたというが、神鹿自体も雲のような造形でより神秘的になっている。きらびやかさも加わり圧倒的な存在感だ。

今回、この作品を含めプレスツアーで名和さんが1つ1つの作品を紹介してくれた様子を動画で撮影したので、他の作品を含め、私の言葉ではなく名和さん自身の声による生の解説を楽しんでもらえればと思うが、Blue Seedという作品の美しさだけは特筆しておかなければならない(動画の完全版はYouTubeやFacebookに投稿する)。

白濁色のキャンバスに、淡い紫色で線画が描かれた作品なのだが、しばらく眺めていると絵の形が徐々に変わっていく。
 コンピューター映像?と思って額を見直すも電源のようなものは見当たらない。近寄って見ても、デジタル表示の特徴「ピクセル(画素)」も見えない。
 実はこれ紫外線を蓄光できる特殊顔料が塗布された半透過性の板にUVレーザーを照射して描いているという。手をかざしてみると、天井に隠された投影機からのレーザー光が手に写った。
 さっきまで紫色に染まっていた部分が、しばらく時間が経つと、うっすらと色が引いて白に戻っていくが、その間合いがなんとも心地よい。陶酔していつまででも眺めていられる。
 ちなみにUVレーザー光が描いているのは植物の種子や胚珠の断面。個として成長する可能性を持つ種子や胚珠のイメージに、「生命の誕生や存在の儚さ、明滅しながら維持されるシステムとしての永続性」を重ねたのだという。

解説ビデオ中の名和さんのマスクの柄にもなっている作品「Moment」にも圧倒される勢いを感じさせた。15度の角度の線は、針のような筆の下に置かれたキャンバスを動かしてつけられた。あの巨大な作品の繊細な線1本1本を、スタッフたちが掛け声でキャンバスを押して描いている様子を想像すると驚きしか湧いてこない。

展覧会入り口で出迎えるPixCellのカラスの作品、油絵具と油の混合特性で変化を続けるBlack Field、火星の砂丘に天災や疫病も多かった鎌倉時代「方丈記」に描かれた無常観を重ねあわせたドローイングの「Dune」(昨年発表した映像作品「Tornscape」をドローイング化しようとして誕生)など、どれも見応えのある作品ばかり19点がGYRE Galleryを埋めている。

19?冒頭で20と書いていたではないかと思う人もいるかも知れないが、20点目はギャラリーの外、GYREの大きな吹き抜けに展示されている(GYRE GALLERYでは、いつも展示中のアーティストが、この吹き抜けにも作品を展示するのだ)。6つの作品を合わせてつくられた背の高い展示で、できれば地下のHAYから5階までガラスのエレベーターに乗って見るのがオススメの鑑賞法だ。

なお、11/3までと短いが、明治神宮の南神門にも「Ho/Oh」という鳳凰を象った名和晃平作品が展示されている(12月13日までの明治神宮ミュージアムのWhite Deerに加えての展示だ)。併せて見ておけば、海外の名和晃平ファンへのコロナ明けの土産話になる。

名和晃平 (KOHEI NAWA)
Oracle
GYRE GALLERY
2020.10.23-2021.1.31

(DESIGNARTをはじめとするデザイン、アート関係のイベントが一斉に始まったこの後連投が続きます)


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2020/10/24

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