NHK「世界はほしいモノにあふれてる」のインスタグラム(nhk_sekahoshi) - 2月14日 19時51分

夜の妄想バレンタイン小説　第3話🐶

【2021年2月13日 23時30分】

2人の女性が喜ぶ顔を思い浮かべて、
私は1人、夜の台所に立つ。
お気に入りのオリーブ色のエプロンを身につけて…

街から音が消えて、静寂に包まれた雪の夜。
果物ナイフで、私は静かにオレンジを剥く。
私が作っているのは、マーマレードジャム。
妻と娘への逆バレンタイン作戦だ。

マーマレードジャムは、
18世紀、イギリスのとある港町で生まれた。
ある日、商船が嵐で港に漂着。
積んでいた大量のセビリア産オレンジが傷み始めていた。
見かねた街のある男性が、全て買取ったものの、
セビリア産のオレンジは、苦みが強くて、
そのままでは食べられない。そのとき、男性の妻が、
砂糖を足して煮詰めることを思いつき、
美味しいマーマレードが誕生したと伝えられている。

夫婦の支え合いで生まれた、愛のマーマレード。
世間ではバレンタインは男がもらうものだというけれど、
いつも支えてもらってばかりの私は、
この日にこそ、2人への恩返しをしたいと思っている。
「うん、いい味だ」

バレンタインの日の朝。
起きてきた妻と娘に、
トーストと共に、そっとマーマレードのジャムを差し出す。
手作りをしたなんて、絶対に言わない。
「これもしかして、パパの手作り？」
さすが私の娘。すぐに気づいてくれる。
「あなたらしい味ね、大人の味だわ」
と妻。

今宵は月が綺麗だ。
夜8時。
私が2階の書斎に行くと、チョコレートが置いてある。
いつもは、もっぱらオリーブのチョコだが、
この日は、見慣れないチョコ。
ひとつ手に取り、食べてみる。
柑橘のほろ苦さと、爽やかな甘みが
口いっぱいに広がる。

チョコレートと共に、手紙が添えられていた。
妻からだ。
「ジャムのお返しに、
　あなたのジャムを使って、
　チョコを作ってみました
　アンより」

書斎のドアを3回ノックする音が聞こえた。
これは娘からの合図だ。
「パパ、紅茶入れたよ」

連続妄想小説　
「セバスとアン」fin

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海外に行きたいせかほしスタッフの
妄想にあふれた小説。
最後までお読みいただき、
ありがとうございました🙇‍♂️🐶

ちなみに、せかほしスタッフ🐶は、
バレンタインデーは、ディスタンスを守り？、
一人で過ごす予定です😤😤😤
大切な人を思う1日になりますように！
ハッピーバレンタイン！

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