猫沢エミのインスタグラム(necozawaemi) - 10月4日 16時49分
30代の後半、私はとても貧乏だった(このあたりの話は拙著「ねこしき」に詳しく書いています)。
服が買えないどころか、お財布にはいつも100円しか入っておらず、自販機のミネラルウォーターさえ我慢して、家に帰ってから、お水を飲むことさえあった。
金銭感覚のまるでない両親に育てられた私が、自分なりのお金の価値観を持つまで、だいぶ苦労をした。でもあの時、お金に一度フラれて本当によかったと、50歳を過ぎた今、切実に思う。
人間がつくりあげた資本主義社会の仕組みが果たして本当にベストなのかは今も疑わしく思っている。
でもひとつ言えるのは、お金に振り回されたり、動かされる人生は送りたくない、ということ。そのために、私は身の丈に合うだけの、お金のことを考えなくていいだけの、過不足ない収入を得ることを、いつも心がけている。それ以上のお金を持つつもりはない。
人ひとりがまっとうに働いて稼げるお金には上限があると信じていて、それ以上は、どこかに無理や迎合がついてまわるから。あくまでも私個人の考え方ですが。
壊滅的だった経済状態を立て直すことは、そのまま人生の立て直しを意味していた。そして、まっとうなお金を稼げるようになった時、ここから先の人生で買う服は、消費物(下着や靴下や部屋着など)以外、20年着れる物だけ、本当にピンとくるものだけにしようと心に決めた。
そんなことを考えていた時、出逢ったのが @humoresque.humoresque の服たちだった。決して安いとは言い難いお値段。しかしそこにあるのは、素晴らしい肌触りの、決して気飽きることも妥協もない、人生をしなやかに闘うための、大人の戦闘服だった。
デザイナーの由夏ちゃんが「うちのセーターは、ブラシをかけるとフワッフワになってもっと着心地がよくなるよ」と教えてくれて、私はカシミア用のセーターブラシが欲しかったけど、出発前の日本で、それを買いに行く時間がどうしてもみつけられなかった。それでパリに着いて、真っ先に買ったのが @andreejardin のコート&セーター用ブラシだった。
モノを大切にする余裕などないと決めつけていた心貧しい30代を振り返ると、どうしてお金もモノも、私に応えてくれなかったのかよくわかる。
末端の生産者が泣いて作った服を、毎年何枚も安く買い込んで、次の年にはゴミにするくらいなら、お金を貯めて10年、いや20年に一度、一生着れるものを買うほうがいいと私は思いながら、今日も大切なセーターにブラシをかける。
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2022/10/4