偕成社のインスタグラム(kaiseisha_pr) - 6月12日 12時01分

「おれたちがたのしそうに野球してたもんで、いやがらせに、ふらせたんだ。名まえが雨森だから、雨をふらせるってのはとくいなんだろ。」

「ぼくたち、野球にむちゅうで、夕立がきそうなのに気がつかなかったんだよ、きっと。」
二郎がそういったが、声の調子は自信がなさそうだった。

たしかに雨森さんというひとは、魔法つかい、というふんいきをもっていた。それも、みんなの知らないところで悪とたたかっている、という感じがあった。いや、もしかすると、善とたたかっているのかもしれないが。

さっきから、なにかいいにくそうにしていた勝治が、
「雨森さん……今晩、ひっこすんだよ。」
といった。

勝治と幸江のお父さんは、アパートの管理人だ。

へえー、と、みんなは勝治の顔を見、まるくトンネルのかたちにふちどられた、雨にけむるスカイハイツマンションを見あげた。

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