猫沢エミさんのインスタグラム写真 - (猫沢エミInstagram)「《パリ・盗難日記 / ３日目》昨夜は死んだように眠った。iPhoneを盗られるということは、目覚まし時計もなく、自然のサイクルで起きるより他なくなることをまざまざと知る。そして、天気もチェックできないので、もそもそ起き出してTVをつけてみると、フランスではよくある〝理由なき接続不可〟により、なにひとつ映らなかった。茫漠とした心持ちのまま、PCをつける。あ、今日は土曜日だった。そうか…….本当ならば、もう南の島にいるんだったから、にゃんフラの週末レッスンはなかったな…….。よく、映画なんかで「A案を選ばなかったら、B案はこんな人生」みたいなファンタジーがあるけど、まさに今の自分はB案を生きているな……まさか、ヴァカンスの直前に盗難に遭って行けなくなるとか、ドラマかよ！と思っていたら、ゆみこから電話。「パリに住んでると、3年に1回くらい爆弾落ちますよね」パリでひどい目に遭うことの女王・ゆみこから「最近、聞いたことないひどい状況ですよ、それ！」と言われて、女王からの称号を頂いたような優越感と共に、ゆみこに言われたらおしまい的な絶望感の間を小舟のように揺蕩っていた。そーだよねえ〜。〝鍵と滞在許可証の最高級盗人ご贈答セット〟を進呈したばかりに、鍵の総とっかえだけにとどまらず、このアパルトマンすべてのVIPも全交換とか(꒪⌓꒪) それから気を取り直すべく、土曜マルシェに向かった。すると栗が🌰👀✨そうだ。今年はレユニオンと、その後すぐに日本行きで、フランスの栗のシーズンはやむなく逃すと諦めていた栗ごはんが炊けるではないか！ついでにシャントレル（アンズ茸属のきのこ）も買って、豪華に栗と茸の炊き込みごはんにしてやろうじゃないの。ふさぎ込んでいても意味がない。せっかくの不意に訪れた空白のような時間を有意義に使おうじゃないか。もう週末に入ってしまって、手続きで進められることはない。仕事も横に置いて、無心で栗をむき、米を洗い、ひじきを戻し、高野豆腐の味噌粕汁を作り、鮭を焼いた。ものすごく気が晴れた。ゆみこが言った。「神様はエミちゃんに、無になる時間を与えたんじゃないんですかね？」そうね。無だ、無。ぎゅうぎゅうに詰まっていた栓がポンと抜けた。なにもかもが流れ出て、透明な無が広がっていくのをじっと見ている。＊写真はゆみこのカメラを借りました #猫パリ　#猫沢エミのインターナショナル五十路ライフシフト　#猫沢エミリーパリへ行く　#猫沢エミのパリ盗難日記」10月17日 2時45分