ヤマザキマリさんのインスタグラム写真 - (ヤマザキマリInstagram)「外出先から戻れば、玄関に駆け寄ってくるベレンに向かって、つい「ごめんね」という言葉が口から漏れる。「待たせてごめんね」「ご飯がないね、ごめんね」と。まん丸な瞳でじっと見つめられると、家に帰るまでの間に自分の中に芽生えた邪心や怠惰を見透かされたような気になって、つい「ごめんね」という言葉が口をつく。今から10年以上前、自分の漫画がヒットして、その流れで作品が実写化されるころ、メディアでの露出が増えたことで、巷では漫画家のヤマザキマリという一種の偶像のようなものが象られるようになっていった。ヤマザキさんといえば、イタリアかぶれ。思ったことは全て口にする、物言う漫画家ヤマザキマリ。露出が増えれば増えるほど世間からあれやこれやとジャッジされる機会が増えていった。当然のことながらベレンは私に対してそんな偏見を持つことはない。むしろ人間の世界で起こっているそうした表層的な事象を半ば呆れながら俯瞰で見ている気配すらする。世間の評価に翻弄され、仕事に疲弊し、時には意気消沈している私に「ホモ・サピエンスってしみじみ厄介な生き物だね」と問いかけてくるような気がしてしまうのだが、今やこのベレンを介しての自省は私にとってなくてはならない日常的習慣となってしまった。「猫がいれば、そこが我が家」（河出書房新社）ヤマザキマリ https://kawade.co.jp/np/isbn/9784309031392/…」11月4日 10時29分