平野紗季子のインスタグラム(sakikohirano) - 11月27日 23時30分

1秒でも長くおいしい時間が続いて欲しい人間にとってオーベルジュは夢である。なんせ睡眠挟んで合計20時間くらいは一貫した食体験の只中にいられれるのだから。 Le Doyennéの朝食は最高だった。というか朝食を味わってこそのLe Doyennéなんじゃないかと思った。

天井の高いディナーのダイニングではなく、キッチン横の小さな部屋での朝ごはん。光の差す静かな食堂には、クロワッサンにくるみのパン、ハムにチーズにチェリーや桃が並んでいて、好きにとって良いというのだけど、静物画みたいで手を出すのも惜しいと思った(そばからすぐ食べたけど)。テーブルにはメニューがあってそっちはオーダーするといちから作ってくれるという。散々悩んで選んだのは、プティポワとチーズと半熟卵のタルティーヌ。このタルティーヌがあまりのすごさで、一口かじって食堂から飛び出してしまうほどだった(大丈夫そ？)。菜園の光と風の中で食べたかった。外に出たらちょうどハーブを摘んでいるスタッフの方がいて、セージやタイムの香りに包まれながら食べたあの青くてみずみずしいグリーンピースやミントやレモンピールやカンパーニュが弾ける瞬間、時間や場所、季節や食材、作る人もそれを食べる自分も、いろんなものが完璧に交差して現れる、そこでしかありえない、唯一無二の、めちゃくちゃ味だった。味って時々、世界のすべてだ。

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