野村訓市のインスタグラム(kunichi_nomura) - 9月13日 14時20分


1999年に辻堂でスプートニクという海の家を始めた。葉山から茅ヶ崎までの海岸線を歩いて見つけた何もない場所で、お金もないのでスコップで崩れる砂を整地し、作った手作りの場所。いろんな人が手伝ってくれたおかげでできたのだけど、そこに同時大学生だったマオちゃんという子がいて、私もここで学生仲間とパーティがしたいといったのは99年だったか2000年だったか。どうしても知ってもらいたいすごいラッパーがいると連れてきてくれたのがShing02だった。海辺で聴く彼のヒップホップは他と何かが違ってとても新鮮に聞こえた。そしてそれから彼がリリースしたLuv Sic Part2はビーチのアンセムの一つになった。夏の終わり、ビーチにトンボが飛ぶ頃、Luv SIcを夕焼け時や朝にかけるとちょっとせつない気持ちになったものだった。みなで過ごす夏が終わってしまうという感傷とか、昔のことを思い出したりしながら。
 2014年か、スタジオボイスという雑誌を復刊するという仕事をすることになったときに、一緒にやってくれていた編集の高宮くんが、関西がベースの面白いミュージシャンがいて、絶対訓さん気に入るから紹介したい、文章も書くからといって事務所に来たのがゲザンのマヒトだった。そのときから全身が赤かったかどうかもう覚えていないけれど、体から発するギラギラしたパワーは何色かと言われたらたしかに赤かったような気がする。以来、ゲザンのライブをもう何人だ?ずっと見てきてるが、なんだろうパンクの初期衝動と、その反対のポップさと、ダンスミュージックの疾走感と、とにかくライブが始まったら目が離せない、彼らしかできないものすごいライブをやる。
 そんな両者が今週末で閉まる道玄坂のクラブ、コンタクトでライブをやった。20年前に知った人の音楽と、2010年代に出会った人の対バンライブ。音のジャンルも年代も何もかも違うが、同じ場所で今聴いてもなんの違和感もない。良い音楽やライブは、時間というものを超越するんだと実感するとともに、それを可能にしてくれるのがいい箱、場所なんだなと改めて思った。いつもいるDJブースの中から反対側のステージで繰り広げられるライブを眺めながら、ここがなくなってしまうんだという気持ちと、夏の終わりが重なって、気分が感傷的になったのはしょうがないことなのだけれど、まだ今週末がある。
 金曜の夜、オカモトレイジのヤギがパーティをやるというのでDJしませんかと誘ってもらった。レイジも歳は15以上離れた若い友達だけれど、あらゆることで信用している数少ない本当の友達で、きっと素晴らしいコンタクトへのサヨナラパーティになると思う。今までコンタクトにきたことがある人も、一度も来たことがない人も、今週がその姿を見ることができる最後の機会だ。クラブというのは記録に残るものではなくて、記憶に残るものだ。どんな店で、どんな人がいて、どんな音が鳴っていたか?それはその場に立ってその空気を吸わなければ永遠に理解することはできない。レイジのやるパーティはあらゆる音がかかるし、どんな年齢の、どんな性別でも、ウェルカムしてくれる素敵な空間だから、みなさんぜひとも来てくださいな。コンタクトと笑ってさよならをしましょう。


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2022/9/13

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