平泉春奈さんのインスタグラム写真 - (平泉春奈Instagram)「・ 連作短編『恋は2度目から』 第12話 2~9を背負って(咲良サイド) ・ ・ 家のチャイムが鳴り、モニター越しには杉崎さんがいた。 ・ 慎一と再会した3週間前、杉崎さんに「暫く距離を置きたい」とメールを送った。 その後、何度もかかってきた杉崎さんからの電話には出る事ができなかった。 酷いことをしているのは分かっていたけど、とにかく私には考える時間が必要だった。 ・ 「咲良、ドア開けて。お願い」 ・ さすがに良心が痛みそっとドアを開けると、心底ホッとした顔の杉崎さんがいた。 なんだか少し……やつれたように見えた。 ・ 「ありがとう……上がってもいい?」 「……はい」 ・ 別れたくない……でも、別れなければ。 私の中で目まぐるしく葛藤する想いは、まだどこにも着地していなかった。 何から伝えたらいいのか。とにかくまずは謝りたい。 ・ 「電話してくれてたのに、ごめんなさい。どうしても会えない理由があって……」 「会ったんでしょ?サクマシンイチ君に」 ・ 心臓が跳ね上がる。 ・ 「どうして……」 「さすがに分かるよ。‪一時‬帰国してることは俺の耳にも自然と入ってきたし。……で?なんでそれが会えない理由になるの?」 ・ どう言葉にするべきか分からなかった。 でもきっとごまかしなんてこの人には通用しない。 全部ありのまま伝える事がせめてもの誠意だろう。 ・ 「……やり直したいって言われました」 「……きみの返事は?」 ・ 「……付き合ってる人がいるからって断りました。でも……私、彼に会って気持ちが揺れました。心がときめいてしまったのも本当です。その後も、どうしようもないほどの罪悪感に心が押しつぶされそうになって。……私の心の中に、今もまだ彼はいるんです。消すことができないんです。こんな気持ちのまま杉崎さんと付き合い続けるなんて、そんなのできない。必ずあなたを傷つける……だから……」 ・ 涙が出そうになるのを必死に堪えた。 暫くの沈黙の後、杉崎さんは口を開いた。 ・ 「1つだけ、本心を聞かせてほしい。いい?本心だよ?」 「……」 「きみは、彼とやり直したいの?」 ・ やり直したい?慎一と? 杉崎さんとこんな風になる前は何度もやり直したいと思った。 あの時埋める事ができなかった隙間をもう一度、慎一と一緒に埋めていきたいと願った。 ・ でも杉崎さんに愛されて杉崎さんを愛して……埋めたかった隙間に杉崎さんが入ってきて、少しずつ心の扉を開いてくれた。辛い過去は段々と思い出に変わってきてる。今の私は、もうあの時の私じゃない。 ・ 「……それは違うと思います。もうあの頃の私じゃないし、慎一……彼もあの頃の彼じゃない。私が今好きなのは、杉崎さんです。それは変わらないです。でも……」 「咲良」 ・ 杉崎さんは私の言葉にかぶせるようにそう言って、私の手を握った。 ・ 「……俺、一番最初に言ったよね?忘れなくていいって。きみが大切だったものはきみだけのものなんだ。俺だって大切な過去は沢山ある。人の気持ちは1か10かだけじゃない。2~9が殆どなんだ。そのグレーの部分を背負いながら、受け入れながら、自分の中で少しずつ折り合いをつけて10に近づけていく作業が、生きていくってことなんじゃないかな」 ・ 「……」 「もし咲良が今も俺より彼のことが好きでやり直したいと強く望むなら、身を引こうと思った。でもきみは、今でも好きなのは俺だって言ってくれた。だったら俺は遠慮はしない」 ・ 杉崎さんは座っていたベッドから降りて、私の足元に跪いた。 鼓動が早まる。 ・ 「咲良、俺を選んで。俺はきみの過去も、きみ自身も背負う覚悟がある。」 ・ そして……私の手を握って、薬指に光るものを通した。 ・ 「……!」 「こんな形できみを引き留める方法しか、思いつかなかった」 ・ 杉崎さんは自嘲するように笑って私の目を真っ直ぐ見つめた。 ・ 「咲良、結婚しよう」 ・ ・ ・ to be continued ・ ・ 【登場人物】 早見 咲良(はやみさくら26歳) 杉崎 栄治(すぎさきえいじ30歳) ・ 佐久間 慎一(さくましんいち26歳) ・ ・ ============ ・ ・ 連作短編『恋は2度目から』第12話でした!今回ちょっと長くなってしまったけど、いよいよラストスパートです。 ・ 人の気持ちは1か10かじゃないって、前別の作品を描いた時私が皆さんに伝えた言葉です。長く生きていれば背負うものは増えていきます。全てなかったことにはできません。でもそれも自分の一部だと思ってその気持ちに寄り添って生きていったらいいんじゃないかなって思うんです。だって、その全てが今の自分を形作ってるんですから! ・ さて、杉崎さんの決死のプロポーズに咲良は……次回もお楽しみに! ・ ・ ・ ・ #恋は2度目から #連作短編 #カップルイラスト #恋 #元彼 #切ない #別れ #失恋 #プロポーズ #キュン #一人暮らしの部屋 #インテリア #イラスト #ラブストーリー #カップル #イラストレーション #恋愛 #恋愛小説 #アート #恋愛ドラマ #部屋着 #感動 #創作ポエム #恋人 #胸キュン #illustration #coupleillustration #illustrator」5月3日 20時20分 - hiraizumiharuna0204

平泉春奈のインスタグラム(hiraizumiharuna0204) - 5月3日 20時20分



連作短編『恋は2度目から』
第12話 2~9を背負って(咲良サイド)


家のチャイムが鳴り、モニター越しには杉崎さんがいた。

慎一と再会した3週間前、杉崎さんに「暫く距離を置きたい」とメールを送った。
その後、何度もかかってきた杉崎さんからの電話には出る事ができなかった。
酷いことをしているのは分かっていたけど、とにかく私には考える時間が必要だった。

「咲良、ドア開けて。お願い」

さすがに良心が痛みそっとドアを開けると、心底ホッとした顔の杉崎さんがいた。
なんだか少し……やつれたように見えた。

「ありがとう……上がってもいい?」
「……はい」

別れたくない……でも、別れなければ。
私の中で目まぐるしく葛藤する想いは、まだどこにも着地していなかった。
何から伝えたらいいのか。とにかくまずは謝りたい。

「電話してくれてたのに、ごめんなさい。どうしても会えない理由があって……」
「会ったんでしょ?サクマシンイチ君に」

心臓が跳ね上がる。

「どうして……」
「さすがに分かるよ。‪一時‬帰国してることは俺の耳にも自然と入ってきたし。……で?なんでそれが会えない理由になるの?」

どう言葉にするべきか分からなかった。
でもきっとごまかしなんてこの人には通用しない。
全部ありのまま伝える事がせめてもの誠意だろう。

「……やり直したいって言われました」
「……きみの返事は?」

「……付き合ってる人がいるからって断りました。でも……私、彼に会って気持ちが揺れました。心がときめいてしまったのも本当です。その後も、どうしようもないほどの罪悪感に心が押しつぶされそうになって。……私の心の中に、今もまだ彼はいるんです。消すことができないんです。こんな気持ちのまま杉崎さんと付き合い続けるなんて、そんなのできない。必ずあなたを傷つける……だから……」

涙が出そうになるのを必死に堪えた。
暫くの沈黙の後、杉崎さんは口を開いた。

「1つだけ、本心を聞かせてほしい。いい?本心だよ?」
「……」
「きみは、彼とやり直したいの?」

やり直したい?慎一と?
杉崎さんとこんな風になる前は何度もやり直したいと思った。
あの時埋める事ができなかった隙間をもう一度、慎一と一緒に埋めていきたいと願った。

でも杉崎さんに愛されて杉崎さんを愛して……埋めたかった隙間に杉崎さんが入ってきて、少しずつ心の扉を開いてくれた。辛い過去は段々と思い出に変わってきてる。今の私は、もうあの時の私じゃない。

「……それは違うと思います。もうあの頃の私じゃないし、慎一……彼もあの頃の彼じゃない。私が今好きなのは、杉崎さんです。それは変わらないです。でも……」
「咲良」

杉崎さんは私の言葉にかぶせるようにそう言って、私の手を握った。

「……俺、一番最初に言ったよね?忘れなくていいって。きみが大切だったものはきみだけのものなんだ。俺だって大切な過去は沢山ある。人の気持ちは1か10かだけじゃない。2~9が殆どなんだ。そのグレーの部分を背負いながら、受け入れながら、自分の中で少しずつ折り合いをつけて10に近づけていく作業が、生きていくってことなんじゃないかな」

「……」
「もし咲良が今も俺より彼のことが好きでやり直したいと強く望むなら、身を引こうと思った。でもきみは、今でも好きなのは俺だって言ってくれた。だったら俺は遠慮はしない」

杉崎さんは座っていたベッドから降りて、私の足元に跪いた。
鼓動が早まる。

「咲良、俺を選んで。俺はきみの過去も、きみ自身も背負う覚悟がある。」

そして……私の手を握って、薬指に光るものを通した。

「……!」
「こんな形できみを引き留める方法しか、思いつかなかった」

杉崎さんは自嘲するように笑って私の目を真っ直ぐ見つめた。

「咲良、結婚しよう」



to be continued


【登場人物】
早見 咲良(はやみさくら26歳)
杉崎 栄治(すぎさきえいじ30歳)

佐久間 慎一(さくましんいち26歳)


============


連作短編『恋は2度目から』第12話でした!今回ちょっと長くなってしまったけど、いよいよラストスパートです。

人の気持ちは1か10かじゃないって、前別の作品を描いた時私が皆さんに伝えた言葉です。長く生きていれば背負うものは増えていきます。全てなかったことにはできません。でもそれも自分の一部だと思ってその気持ちに寄り添って生きていったらいいんじゃないかなって思うんです。だって、その全てが今の自分を形作ってるんですから!

さて、杉崎さんの決死のプロポーズに咲良は……次回もお楽しみに!




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2020/5/3

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