平泉春奈のインスタグラム(hiraizumiharuna0204) - 12月13日 20時57分


『ただ触れていたいから』
 
 
ここぞという日に持っていない女。
それは、私のことだ。
 
 
「ん～、詩織の匂いだぁ……」
 
一樹はそう言って私の胸元に顔を埋めた。下着をつけてない胸元に湿った温かい吐息がかかり、思わず身体が反応する。一樹はピンと立つ乳首を生地越しに口に含み、甘噛みした。
 
「んっ……」
 
2ヶ月ぶりの愛撫に身体中が熱を持ち、欲望が疼く。でも……ああ、なんで今私は……
私は、下半身に下りてくる一樹の手をそっと掴んだ。
 
「どした？」
「ごめんっ……その、なっちゃって……今日、できないの……」
 
言いながら目の奥が熱くなり、涙が溢れ出しそうになる。申し訳なさで胸が苦しい。やっと会えたのに、なんで今日なの？予定より1週間も早く来るなんて……。

一樹は私をギュッと抱きしめた。
そして頭を優しく撫でる。
 
「そんなの、詩織が悪いんじゃないでしょ？俺は大丈夫だよ。こうして詩織の匂い嗅いで、沢山触って、抱っこしながら一緒に寝れるだけで幸せだし」
「……でも……せめて口で」
「詩織」
 
予想以上に大きな声が頭上に響く。驚いて思わず一樹の顔を見た。
 
「あのさ。そりゃエッチはしたいよ？でも俺だけ1人で気持ち良くなったって何の意味もないわけ。俺は一緒に気持ち良くなりたいの」
「……」
「それってさ、いつか赤ちゃん産むための準備みたいなもんでしょ？申し訳ないとか思わないの。大事なことなんだから」
 
真っ直ぐ私の目を見てそんなこと言うもんだから、思わず吹き出してしまった。
 
「あー……ごめん。俺、姉ちゃん2人いるじゃん。小学生の時からリビングで生理の話散々聞かされてて(笑)自然とそんな思考に……キモイよな、ごめん」
 
胸が温かいもので満たされていく。私は一樹の首筋に顔を埋めて、ギュっとしがみついた。
 
「全然キモくなんかない……めちゃくちゃかっこいいよ。一樹、大好き」
「あっ……ちょっと待っ……」
 
下半身に突如固いものが強く当たった。
 
「あ……」
「いやまあ、こいつたまに暴走するけどちょっとしたら治まるし、気にすんな」
「やっぱり私が……(笑)」
「いいから。俺の強靭な精神力、見くびんなよ」
「ふっ……あはは」
 
 
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遠距離で久しぶりに会えたのに生理がかぶってしまい……というDMがたまに届いたなあ～なんて思って生まれた作品でした。

でもセックスが全てではないと思うんですよね。キスしたり、触れたり、抱っこしたり、愛の言葉を囁き合ったり……会えるだけで本当に幸せなことだと思うんです。だからそんなこの世の終わりみたいに気にしないことだよって伝えたかったのかもしれません。
まあ、めちゃくちゃ残念な気持ちはよく分かりますけどね！



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