平泉春奈のインスタグラム(hiraizumiharuna0204) - 8月30日 20時04分



『恋する悪魔が囁いた 後編』
 
 
誰かをめちゃくちゃに壊したいと思ったのは、初めてだった。
 

 
「あっ……」
 
白く細い首筋に強く吸い付くと、彼女は思わず甘い声を漏らした。もっと鳴かせたい。今度は歯を立てて、同じ場所を噛んだ。彼女は大きく声を上げて小さく痙攣した。そっと唇を離すと俺が口づけた場所が紫色に染まっていた。心拍数が上がる。もっと汚したい。
 
「佐倉さん、痛くしないで……」
 
彼女は目に涙をためながら懇願した。澄んだ瞳の奥に、酷くくすんだ俺が映り込む。俺はギュっと目を閉じた。ダメだ。壊したい。
 
「身体は悦んでるよ」
 
俺は強引に彼女を窓に押し付けた。彼女は潤んだ瞳を真っ直ぐ俺に向けた。俺はその眼差しから顔を逸らして彼女の耳たぶを甘噛みし、そのまま耳の奥まで舌を差し込んだ。そのままはだけだワンピースをまくし上げ、湿った中心部分へ指先を滑らせた。彼女は喉の奥から甘い声を漏らし、小さく喘ぎ続けた。


彼女とこういう関係になってから、俺は自分の感情がどんどん制御できなくなっていた。しかし彼女は、俺の暴力的な行為を必死に受け止めようとしていた。それを感じる度、どうしようもなく胸が痛んだ。
 
俺はきっと、彼女を不幸にするだろう。

昔から上手に人を愛せなかった。愛が芽生えた瞬間に壊したくなる。愛が育っていくと怖くて堪らなくなる。愛した者全てを支配したくなる。散々振り回し痛み付け、ボロボロにしてしまう。
 
「千春……君は、俺のものだ」
 
止まらない
 
「ずっと、ずっと俺のものだ」

そんなの無理に決まってる。彼女は俺と一緒にいるべきではないのだ。俺なんかを愛してくれるわけ、ないのだ。
 
俺は、強く彼女を抱きしめた。彼女は震えていた。でも少し経って、震えてるのは自分の方だと気付いた。彼女は両手を優しく俺の背中に回した。
 
「私は、あなたのものよ」

小さく囁かれたその言葉に、胸の奥が急激に熱くなった。

壊したかったのは彼女ではなく、自分自身だった。彼女を不幸にしてしまうかもしれない自分という存在を全部壊して、真っ直ぐ彼女を愛せるただ一人の男になりたかった。
 
まだ間に合うだろうか。
彼女に愛していると、伝えてもいいだろうか。

俺は、彼女の温もりに包まれながら、愛の先にある幸せのかたちを思い浮かべた。
そこには、ざわめきのない静かで優しい世界が広がっていた。


end.


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『恋する悪魔が囁いた』前編後編の2部構成でお送りしました!

前編は女性目線で恋に苦しむ姿を。後編は男性目線で自分自身に苦しむ姿を。苦しみながらも恋に溺れ、愛し愛されることを願った2人。言葉足らずで心はすれ違っていたけど、身体を重ねながら少しずつ言葉のない会話を続け、やっと想いを重ねることができたわけです😊✨

今回“歪んだ愛”をテーマに書いたんだけど、なんだか結局のところ世の中に存在する無数の愛は、きっと見方を変えれば程度のちがいはあれど、どこかしら歪みはあるんじゃないかなって思いました。歪みこそが愛しさであり2人が乗り越える壁なのかもしれませんね。



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2021/8/30

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