平泉春奈のインスタグラム(hiraizumiharuna0204) - 7月3日 19時54分
『本当に欲しかったもの』
「帰らないで」
そう言えたら楽なのに。
*
夕暮れ時、まだ抱き合った熱が生々しく身体に残る中、彼は脱ぎ捨てた服を黙って着始めた。ベッドからその重みが消えかかる瞬間、思わず彼の大きな背中に抱きついた。
初めて身体を重ねた夜からずっと
この背中が欲しいと強く願っていた。
男を感じるだけじゃない、心の底から安心できた。あなたがそばにいるだけで、頑張れる気がした。あなたに抱かれるだけで、私は私らしくいられる気がした。
身体で感じるこの温もりこそが、愛なのだと思った。
それなのに今、こんなにも私の心は冷えていく。あんなに欲し続けた温もりは、あまりにも刹那的で曖昧なものなのだと気付いてしまった。
「ごめん、行くよ」
振り返ることもなく私から離れていく背中。
ああ私、いつもあなたの背中ばっかり見てる。
本当に欲しかったのは背中なんかじゃない。
私だけを見つめる熱い瞳。
愛おしそうに触れる大きな手。
「愛してる」の言葉。
ただ一つ。
あなたの愛が、欲しかった。
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2冊目書籍
#今この世界であなたと2人
収録作品です!絵と文章を更に加筆修正して公開しました!元にした万葉集はこちら↓
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天雲(あまくも)に 翼(はね)うちつけて 飛ぶ鶴(たづ)の
たづたづしかも 君坐いまさねば
(作者不詳)
訳▶︎雲に翼を打ち付けて飛ぶ鶴は随分と頼りなさそう。私も同じ。あなたなしでは心細くてたまらない。
解▶︎歌の中心は「たづたづし」。「たどたどしい」と同じ語で、心もとなく危なっかしい、頼りない様子を指し、音が同じ「鶴(たづ)」の連想から上の句ができました。誰かを愛してしまった以上、もう独りでは生きていけないのです。(吉田裕子)
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今回元にした万葉集は切ない恋の歌だったので、そこから「セカンド」をテーマに書いてみました。
セカンドに限らず、身体を重ねても心が重なってないのは、時に、2人でいるのに1人でいるような孤独を感じてしまうもの。
日々恋に悩むDMやアンケートを読んでると、みんながみんなハッピーな恋愛ができたらいいのに…と思わずにはいられないです。少しでもみんなが幸せな気持ちになれるよう、私は背中を押せる(あるいは寄り添える)作品を描き続けたいなと思いました。
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2021/7/3