ヤマザキマリのインスタグラム(thermariyamazaki) - 11月15日 09時11分


母はその葉書を読むなり、血相を変えたように私たち娘ふたりを自分の車に乗せて、岩見沢という街の小さなアパートに間借りしているハルさんを迎えに行くと言い出した。ハルさんから送られてきた葉書には短い近況が記され「また皆さんと一緒に暮らしたい」という一言が添えられていた。漢字が少なく歪んだ筆跡が子供心にも切なかったが、母にしてみれば気丈にひとりで人生を突き進んできたハルさんの弱音に、居ても立ってもいられなくなったのだろう。

今でも、真っ青な空が視界の果てまで広がる夏の北海道の道を、岩見沢に向けてハンドルを握る母の目線の先に、どこまで行っても追いつけない逃げ水が浮かんでいた光景を鮮明に覚えている。世間体や常識の向こう側に行かなければ出会うことのない、かけがえのない人もいるのだということを、私はあの時知ったように思う。

新刊【扉の向う側』より

「夫と離婚した後も義母と同居を続け、最期を看取った」ヤマザキマリが見た"母と祖母のかけがえのない関係
https://president.jp/articles/-/75193?page=3


[BIHAKUEN]UVシールド(UVShield)

>> 飲む日焼け止め!「UVシールド」を購入する

1,561

6

2023/11/15

ヤマザキマリを見た方におすすめの有名人