平泉春奈のインスタグラム(hiraizumiharuna0204) - 10月10日 20時18分



連作短編『名前のない気持ち 』
第1話 都合のいい関係


「セフレと恋人の違い?そんなん、未来を見据えるか今だけ見るかの違いっしょ」

親友の瞳はなんの迷いもなくそう言い放つ。

「そしたらセフレ関係って恋ではないのかな?」

なんとなく心の中のモヤモヤが晴れないままそう言い返すと

「恋は恋なんじゃない?全く恋してない相手とセックスはできないでしょ。でも割り切った恋だから楽しめるし、それが都合良くてバランス取れるんだよ」

やはり何の迷いもなく早口で言う。
 
割り切れなくなったら終わるのがセフレ関係……
そう考えると、心の中に細いとげが深々と刺さっていくような痛みを感じた。


出会った時から妙な魅力のある人だなと思った。大人なのに幼さもあって、ひょうきんなのに上品で。そうは言っても会ったその日にホテルに誘うような軽い男でもあった。
ただ私自身、恋愛に重きを置くなんて面倒だし仕事が何よりも優先だったのもあり、いわゆる「都合良く抱き合える男」が欲しいというのが本音だった。だから迷うことなく誘いに乗ったのだが……まあ驚くほど相性が良く、初めて一晩で4回した。

思えばその瞬間から恋に落ちていたんだと思う。でも私は何を勘違いしたのか「最高に都合の良い男」と出会えた!なんて思ってしまったわけで。意気揚々と、「最高に都合の良い女」になりたいのだと志願していた。

愛の言葉はなく、会ってご飯を食べてセックスをする、そんなルーティーン。でも虚しくはなかった。相性が良かったからだろうか。むしろ生きる活力にすらなっていた。声も身体も思いっきりツボだったし、ベッドの中で囁かれる甘い言葉は私を芯から溶かすような効力があったし、とにかく性欲旺盛だった私を満足させられる位の精力が、彼にはあった。

会える日は朝からウキウキして仕事がいつもの倍くらいはかどった。会えない日は何かが足りなくてお酒の量が増えた。繋がりながらオーガズムに達する瞬間「好き」と言いかけて、それを抑えることに苦しさを覚え始めた。

なにかがおかしい……こんなはずでは……
ていうか私……全然割り切れてないじゃん。

限界を知れば、あとは「都合の良い女らしく」スマートにこの関係を終わらせる。それが使命だ。だってこれは、私が始めてしまったことなんだから。


「もう、今日で終わりにするね」
「え?なんで……?」
「もう、いいかなって。十分……楽しんだし」

言葉にならない想いが溢れてきて、息が苦しい。百瀬さんは暫く黙った後、何かが吹っ切れたように言った。

「そっか……わかった。俺も楽しかったよ。今までありがとね」

目の奥が焼けそうに熱くなっていく。百瀬さんのその一言で、私は無意識に彼を試したのだと気付いた。愚かでずるい女。最悪だ。

百瀬さんは、さっさと上着を羽織り立ち去る準備を始めた。なんて切り替えの早い……そんな彼の行動に勝手ながらひどく傷付いていた。

最後にそっと私に近づく。唇にキスをしかけ……行き先はおでこに変わった。
今まで起こったことが全て夢だったのかと思うくらい、冷たく渇いた触れ合い。もう欲することは叶わない。自ら手放すということはそういうことなのだと痛感した。

私はその日初めて、涙を出さずに泣いた。
熱い液体が外に流れ出ることを、どうしても許すことができなかった。


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セフレ4部作(言い方w)『名前のない気持ち』1話目です。

「セフレ」と一言で言っても色々なパターンがあると思うのですが、感情を上手に制御していけないとなかなか成り立たない関係なのかもしれないなあ、と感じます。

さて次回、別れる前の濃厚な官能編をお送りしまーす!!(内容がかなり過激な予定。消されないことを祈る)



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2020/10/10

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