平泉春奈のインスタグラム(hiraizumiharuna0204) - 8月11日 20時15分


『極彩色の光の中で』


何度も、終わりの瞬間がよぎった。
愛があれば何があっても大丈夫なんて
そんなご都合主義な現実はない。
会えない日々が長引けば長引くほど
そう思わずにはいられなくなった。


「今年も一緒に来れたね」
「うん」
「……もうこのまま会えないんじゃないかって、思ったりしたよ」
「バカ。そんなわけないだろ」
「……分からないじゃん」
「……」
「ごめん、こんな話……」

私は弱い。
時々無性に、起こりもしない未来の闇に
引きずり込まれそうになる。
確かなものが何もない私達の中で
ただ一つ確かなのは
大好きな人と一緒にいる今この瞬間だけ。
それだけ……

優君は、一歩私に近づいた。
見上げると色とりどりの光が反射した
切なそうな表情が私を捕らえた。

「沙羅……結婚しよう」

え……今なんて？
現実だと思っていた今が全部夢な気がして
何も言えないまま優君の目を見つめた。
その瞳は、優しさと切なさを帯びて輝いていた。

「もっと早く言うべきだった。でも生活とかお金とか……そんなくだらない理由に縛られて、自分に言い訳してた。結婚する理由なんて、沙羅と一緒に……ずっと一緒にいたいって気持ちだけで十分なはずなのに」

大きな手が私の頬を包み込んだ。
その手はほんの少し震えていた。

「不安だったのは俺も同じ。もう二度と離れたくない。確かなものが欲しい。だから俺と……結婚してください」

視界に広がる色とりどりの光が
パレットの絵の具のように淡く混ざっていく。
そしてそれは、極限までそこにあり続けたが
やがて熱い液体となって外にこぼれ落ちた。

「私……優君の奥さんになれるの？」
「そうだよ」
「優君と毎日一緒にいられるの？」
「そうだよ」
「喧嘩しても？」
「うん。次の日には仲直りできるよ」
「ずっと、死ぬまで一緒？」
「……俺が先に死ななければ(笑)」
「優君……」

私は優君の肩に顔を乗せた。
極彩色の光の花が、響き渡る重低音と共に大きく咲き乱れる。
優君はそっと私の顔を上に向かせて
まるで永遠の誓いのようなキスをした。



👫登場人物
沙羅　さら（23歳）
優吾　ゆうご（25歳）


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2020年はコロナの影響で長く会えなくなってしまっているカップルさんも多いようですが、会えなくなったからこそ、2人の未来を改めて考えた方もいたんじゃないかなと感じます。
花火大会は続々中止となってますが、せめて絵の中では……と思って打上花火プロポーズ🎆✨でも実際はドーンドーンとうるさくてプロポーズには向いてないかもしれませんね！笑
いつも、皆さんの幸せな未来を願ってます✨



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