平泉春奈のインスタグラム(hiraizumiharuna0204) - 10月24日 20時03分



連作短編『名前のない気持ち』
第3話 猫みたいなきみに

 
猫みたいな子だと思った。
出会った瞬間からスッと懐に入ってくるような人懐こさと、どこかひねくれていて内面をあまり見せようとしない不器用さが絶妙に混ざっていて、すぐに惹かれた。
 
欲しいと思ったらすぐに手に入れたくなる性分だったのでダメ元でホテルに誘ったら、驚くほど何の迷いもなく承諾してくれた。更に驚くことに、身体の相性が今までのどの女の子よりも抜群に合っていたので、出会って間もないというのに完落ちしてしまった。
 
翌日、順番は逆になってしまったが男らしくビシッとお付き合いを申し込むつもりが……彼女は目を輝かせながら俺に言った。「私のセフレになりませんか?」と。試合には勝ったけど勝負には負けた、そんな感じだ。深く落ち込み心の底からガッカリした。
 
それでも彼女を手放したくなくて、その提案を吞むことにした。もしかしたらそのうち正式な恋人になれるかもしれないという淡い期待を抱き、俺は彼女のセフレになった。
 
幸せだった。会う度に好きになった。でも彼女は俺とセックスしかしようとしなかった。彼女が望む「都合のいい関係」を崩してしまったら、きっともう会えない。そんな恐怖から、自分の意思で動き出すことができなかった。「好き」の一言さえ、どうしても……言えなかった。
 
どうしたら彼女と愛し合うことができるのだろう。なぜこの世界は愛し合わずにセックスをする関係なんかに名前をつけてしまったのだろうか。俺は彼女のなんだ。この気持ちはなんだ。愛って、一体なんだ。
 
その日、俺は彼女に伝えようと思った。
「雪乃ちゃん、きみが好きだよ。俺の恋人になって」
しかし何度も心の中でリピートしたその言葉は、結局彼女に伝えることなく宙ぶらりんのまま取り残された。
彼女が突然何の前触れもなく、この関係を終わらせたからだ。本当に最後の最後まで猫みたいな子だと思った。自分勝手でワガママで、でもどうしたって憎めないんだ。

完敗だった。俺はみっともない姿を晒さないよう必死に堪えて、最後まで物分かりの良い男を演じ切った。
 
 
あれから1ヶ月。全て夢だったんじゃないかってたまに思う。
でもこの腕に抱いた彼女の温もり、耳の奥まで痺れるような甘い声、背中に立てる爪、柔らかい乳房、繋がった瞬間のこの世のものとは思えないほどの悦び……その全てが今もまだ鮮明に覚えてる。

忘れられるわけない。忘れたくない。俺は彼女を心から愛していた。言葉にできない想いはとっくに溢れ返っていて、俺を二度と戻れないところまで連れてきてしまったんだ。もう彼女に出会う前の俺には戻れない。
 
みっともなくたっていい。ガッカリされたっていい。嫌われたっていい。俺は自分の意思で、この関係を終わらせるべきだったんだ。

そう思ったらスマホを手にして画面のボタンを押していた。ずっと消せなかった彼女の連絡先ボタンを。


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セフレ4部作「名前のない気持ち」第3話。
なんつーすれ違い!って感じの男性側視点でした(笑)

でも人の気持ちって、すれ違いの連続だと思いません?全ての気持ちを言葉にするって難しいし、全ての気持ちを察することも難しいもんね。ここまで大きなすれ違いはそれこそドラマだけど、案外日常の至る所で小さなすれ違いは起きてるように思うんですよね。だから“言わなくても分かる”とか、“察して”なんて思わずに、“言葉”にすることはすごく大事なんですよ。

今回のイラストは2人のセフレ時代、百瀬さんが結構辛くなってきている時期を描きました。シャワー官能久しぶりで上がりました。

次回、最終回です。



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2020/10/24

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